13/07/28 08:00:44.39
>>494-496
Tsk06@tsk06
『松尾さん「西村さん、打ち合わせ中すみません。
あの、その打ち合わせ、いつ終わりますか?」
松尾さんの声は焦っているようだった。(略)
松尾さん「高畑さんがずっと田辺さんを怒り続けてるんです。
もう4時間くらい。ぜんぜん作業も進んでいないし、
西村さん帰ってきてください!」(略)
かぐスタのドアを開けると、スタジオ内が不気味に静まり返っていた。
その静けさ、明らかに何か変だ。
高畑さん、田辺さんともに、
何事も無かったかのように、いつもどおり机に向かってはいる。(略)
僕は、何も知らぬ振りをして、
高畑さん、田辺さんに声をかけようと、ゆっくりと近づいていった。
しかし、途中で近づくのをやめた。机に向かう田辺さんの後姿。
その彼の耳が、真っ赤になっていた。
ぼくは、何となくだが、話しかけるのをやめた。
絵コンテは、この4時間激怒事件に象徴されるように、
かぐスタに移っても、まったく順調には進まなかった。
これが延々と、本当に、延々と続いた。
高畑さんが怒るのも無理はない。
高畑さんがいくら説明を尽くしても、
田辺さんは「実感」が沸かないの一点ばりで、なかなか理解してもらえない。
田辺さんが「実感」を掴んだシーンは、
一気に絵コンテが進むのだが、またそこで立ち止まってしまう。
あの頃を思い出すと、今でも気分が悪くなる。(略)
僕は高畑さんをご自宅へ送る車中で、毎日、高畑さんの愚痴を聞き続けた。
一方で、スタジオに戻ると、怒られた田辺さんを慰めるため、
終電までの30分間だけ、近くにある安居酒屋でお酒を飲み交わす。(略)
これを毎日だ。平社員なりに少しはあった貯金が、底をついた。』
7/24 かぐや姫日誌より