14/01/16 14:36:33.90 7azsLOz4
看板娘が愛用している朱い椅子になりたい
初めての出会いは 賑やかなどこかの市場
ギルドガールの職に就いたばかりで 周囲から口々に讃えられ
華々しく輝いている彼女に 朱塗の顔に手を置かれて
まあ素敵 このコにしましょう
なんて見初められたら もう嬉しすぎて
ぴかぴかに磨かれた頬が より一層朱く染まっちゃう
それから 出張受付嬢という茨の道を自ら選んで歩み始め
一人旅の辛さを知り 苦労を重ねて少しずつ成長していく彼女を静かに見守って
花曇る朝も霜萌える夜も 鼻先をしっかり合わせて 疲れた腰を支えてあげたい
我らの団に入団してから 仕事が軌道に乗り始めて
旅団の看板娘 として各地で親しまれるようになり
また出会った頃のように華やかに微笑むようになった彼女を見て
少し切ない気持ちを覚えつつも 一本脚をまっすぐ伸ばして受けとめてあげたい
入れ替わりの激しい我らの団で 出会いと別れを繰り返すうちに
人間的に成熟…はあまりせず それどころか変人度に磨きがかかっていく彼女を
それはそれで微笑ましく思いながら 金の縁取りをきらりと尖らせて癒してあげたい
そしてある日 やたらとゴージャスなまつ毛を持つハンターの似顔絵を描きながら
彼女が 今までにない表情を浮かべていることに気が付いて
砂まじりの風に長年曝されて すっかりくすんでしまった頬が
紅玉よりも深い朱色に艶めいていた出会いの日のことを 懐かしく思い起こしたい