13/06/29 17:14:58.45 vhobcF0J0
FFXを即興で投下
NGは番号かトリで。
時期としては最終決戦前、シンの両腕をもぎ取った後です。
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真実は時に残酷な事実を眼前に突き付け、運命は時に過酷な選択を迫る。
少年は窓の外に流れていく雲を見つめていた。
特に観察している訳では無い。目の焦点は何処にも合っていないように見える。
物思いに耽り、ガラスに映る自分の顔をただ漫然と眺めていた。
嘗てアーロンは言った。
このスピラには死が満ち溢れていると。
シンが死を振り撒き、死人が幅を利かせ、魔物が徘徊する。
そして究極召喚を行えば、召喚士は死んでしまう。
この死の螺旋は、何としても断ち切らねばならない。
幸い、召喚士が犠牲にならずとも、シンを倒す方法は見つかった。
これで、彼の少女も、スピラ共々救える。
―君は、消えないよね―
少年は不意に俯いた。先ほど少女に言われた言葉が、脳裏に蘇る。
シンの中に入り、エボン=ジュを倒せば、永遠にシンは復活しない。
ナギ節がずっと続くのだ。
もう、人々がシンに怯える必要は無くなる。
ただその代わりに、祈り子達は夢を見なくなる。
召喚獣たちも消え、エボン=ジュが召喚し続けている夢も消える。
少年の決意と運命に、果たして仲間たちは気付いているだろうか。
あの少女は気付いているかもしれない。