FFの恋する小説スレPart12at FF
FFの恋する小説スレPart12 - 暇つぶし2ch101:氷棺 - Cold Case 1 ◆Lv.1/MrrYw
12/08/11 01:11:21.49 rJv/eN+50
※舞台はFF7AC~DCの間ぐらい。(DCの「エッジに流れる奇妙な噂」の出始め辺り)
※FF7の“タイトルロゴマーク”を見て膨らんだ妄想話。
  たぶん3~4回の投稿で終わる短編です。
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 ある日デンゼル達が持ち帰った一枚の古びた写真が、街の子ども達の間でちょっとした
話題になっていた。たいていの子はその写真に興味を示し、写る物の美しさに見とれた。
中には目を見張るような鮮明さに、これが写真ではなく絵なのではないかと疑う者や、記憶
に焼き付いた禍々しいメテオを想起した者もいたが、他のどれよりも目映く白い光を放つ
その姿は、メテオとはあまりにもかけ離れていた。
 結局、子ども達がその正体に行き着くことは無く、写真はデンゼルが保管し自宅に持ち
帰ることになった。


 夕食が終わり、ティファとマリンが片付けに席を立ったのを見計らって、デンゼルは件の
写真を取り出す。
「なぁ、クラウド」
 心なしか声を潜めて言いながら、隣に座っていたクラウドに写真を差し出す。
「これって流れ星?」
 写真に映っていたのは、星空を斜めに横切るひときわ明るい星の姿だった。写真の左下
に輝く星から延びる尾の姿が、巨大な流れ星を連想させた。
「これは流れ星じゃなくて……すい星、だな」
「すい星?」デンゼルは耳慣れない言葉を呟きながら、説明を求めるようにクラウドを見上げる。
 少年の、興味と好奇心に満ちた視線を受けて内心クラウドは僅かに後悔した。心当たりを
口にしたまでは良いが、デンゼルの期待に応えられるほど知識の持ち合わせが無いのだ。
 だからといって、痛いほどに感じるデンゼルの期待を裏切るというのもクラウドの望むところ
では無い。正直なところを言うと、ここは年長者として格好良いところを見せたいと思っていた。
「……こう言う話は俺よりもシドの方が詳しいと思うけど……」
 ところが、口を開いて最初に出たのはなんとも弱気な言葉だった。我ながら情けないと思い
つつも、知りうる限りの情報をデンゼルに伝えようと記憶をかき集める。
「流れ星とすい星は別の物なんだ。流れ星を見たことは?」
「……テレビでなら」
 デンゼルの記憶にあるミッドガルの空に、星は1つも無かった。そもそも夜空や、街灯の
並んだ夜道も暗くなかったからだ。夜が暗く恐ろしい物だと知ったのは、ミッドガルを出て
からだった。
「デンゼルが見たのは、この写真みたいなものだった?」
 聞かれたデンゼルは首を横に振る「もっと……小さかった、かな? こんなに明るく
なかった」。
「流れ星っていうのは、宇宙からこの星に降ってくる小さな石のかけらなんだ。それが空で
燃え尽きる時に、流れ星に見える」子どもの頃に何かの本で読んだ、うろ覚えの記憶だった。
「メテオみたいなのが……?」
 尋ねるデンゼルの表情がやや強張っているように見えたので、努めて穏やかな口調で
クラウドがこう答える。
「確かに大きすぎるとああなるけど、メテオはもう無い。だから大丈夫」
 当時の大人達でさえ恐怖したあの光景は、子ども達にはより強い恐怖と、精神的な影響を
残したことだろう。「メテオ」という単語を口にすること自体を敬遠する風潮さえあるぐらいだ。


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