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日本経済新聞 2012/4/30付 社説
技術流出に本気で歯止めを
URLリンク(www.nikkei.com)
新日本製鉄が韓国鉄鋼大手ポスコなどを相手取り、高性能鋼板の製造技術を不正に取得したとして、
不正競争防止法にもとづく民事訴訟を東京地裁に起こした。
海外事業や原料調達で協力関係にあるポスコを新日鉄が提訴したのは技術流出への危機感の表れだ。
電機や化学業界などでも技術が海外へ漏れる問題が後を絶たない。技術は日本の競争力の源泉だ。
流出対策を真剣に考える時だ。
(中略)
ほかの日本企業も知的財産の流出で不正行為があったと判断できるなら、司法の場で争うなど毅然と
した態度をとるべきだ。
経済産業省の2010年の調査では2割の企業で、過去5年間で国内拠点から技術が流出したと思われ
ることがあった。部品や材料など日本が強みとする技術流出は今も続いており、歯止めをかける対策を
十分に講じる必要がある。
不正競争防止法もどこまでを機密情報とするかは判断が分かれる面がある。企業は持ち出しを禁じる
情報をはっきりさせ、転職や退職する社員と秘密保持契約を結ぶことは最低限求められる。
だが社員の退職時に秘密保持契約を結んでいる企業は経産省によれば2割にとどまる。企業は
情報管理体制を点検すべきだ。
技術者ができるだけ海外企業に引き抜かれないようにし、人とともに技術が流出するのを防ぎやすく
する必要もある。研究開発で実績をあげれば高い報酬が得られる制度をつくるなどの工夫が要る。
企業が知恵を絞る余地は大きい。