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今からおよそ80年前の世界恐慌の真っ只中、資本主義が最大の危機に直面していた頃、
今後100年後の資本主義社会がどうなるかについてケインズが述べていたことがある。
ただし、「人口の爆発的増加」や「大きな戦争」がなければという条件つきで。
資本が年間2%の率で増加すると仮定すると、百年余りたった後には生活水準が
今のおよそ8倍になると想定できるだろう、と彼はそのときに述べた。
彼がいうには、人間の経済的ニーズには、生活の必需性を満たす絶対的ニーズと
他者との競争での優越感を果てしなく求めつづける相対的ニーズとがあるが、
少なくとも絶対的ニーズに関すればその頃には経済問題のほとんどが解決するだろう、と。
つまり、絶対的なニーズに関するかぎり、人々はあくせく働いたりする必要が消える。
しかし仕事を全くやめてしまう生活にも人間は耐えられず、
上流階級のご婦人が直面しているような深刻なノイローゼが蔓延するかもしれないから、
1日3時間勤務、週にして15時間勤務にすれば、この問題をまだ先延ばしにできる、と。
これは現在の一日の法定労働時間にすれば、ほぼ週休5日制ということができる。
そこでケインズは、ワークシェアリングの必要性までも語っていた。
要するにこれは、絶対的需要に関する雇用はそこまで消滅するだろう
という推測のいくぶん遠回しな言い方だろう。
資本主義社会は放っておいても将来こんな恩恵をもたらすというプロパを込めて、
ケインズは経済学者の立場から一般大衆向けに資本主義を弁護するつもりで述べたのだろう。