09/05/04 16:57:28
岩田規久男
資産価格が暴落し、それも借入金が裏付けだから、典型的なデットデフレに陥っている。
そういうときは当然、財政出動とともに金融政策がもう一つの柱になる。
特に日本では昭和恐慌を大きな金融緩和によって乗り切ったという歴史的事実がある。
そのときは財政支出を賄うため国債を発行したが、その国債を日銀がすべて引き受けた。
それが高橋(是清)財政だった。
日銀は普通、銀行から国債を買い、銀行の日銀当座預金が増える。
そのままにすると過剰準備を銀行は持っているだけで、
非銀行部門という民間におカネが流れず市中のおカネは増えない。
民間銀行が足りなくなった国債を市中の非銀行部門から買って、やっとおカネが出ていく。
この仕組みだと、日銀はおカネを増やすためには相当の買いオペをしないとならない。
実際、「平成の停滞」のときに量的緩和がこの方法で行われたが、国債の買い方が少なく、
日銀当座預金残高は30兆円ぐらい増えたものの民間の国債を買うところまでにはいかなかった。
そのため、おカネは4年で11%しか増えていない。
だから日銀当座預金残高ではなく、おカネがどれだけ出ているかを目標にしないといけない。
高橋財政の場合は、国債が民間に出ていかなくて日銀が買っておカネが政府預金となり、それを基に財政支出した。
銀行にではなく非銀行部門に直接おカネが出て、効果は早い。
現在の経済状況がここまでくると、同様に日銀の直接引き受けにしたらいいのではないか。