13/01/29 13:16:59.84
「何言ってんの・・・?どうぞよろしく・・・?
フフフ、よろしいわけないでしょ・・・
あ――、甘く見てた!!父さんたちの変人っぷりを甘く見てたわ!!」ギギギギ
と、手近なコンテナを素手でねじり潰し歪めながら歯噛みするてつこ。
『!?』『!?』困惑するリリエンタール。
「いやあ、ぼくはべつに犬が弟でもいいけどなあ」
『わほっ!?』パァァァァ 目を輝かせるリリエンタール。
「しまった、兄貴も変人側(あっちがわ)だった・・・!」
目まいをおぼえるてつこ。しかし決然と主張する。
「イヤよ!あたしはふつうの人なの!
ふつうの犬はしゃべらないし!ふつうの人は犬を弟って言わないの!
変人のやることに、あたしをまきこまないで!!」
『まあまあ、そういうことはリリエンタールに言ってもしかたがないよ』
と、てつこをなだめる兄。
両親の手紙には続きがあった。
「『リリエンタールをねらっている人たちがいるので気をつけて・・・
あなたたちなら大丈夫だと信じています』?
・・・なにこれ、めんどう事のにおいがぷんぷんするんだけど・・・」
『うん、急いだほうがよさそうだ』
リリエンタールを連れ歩くのは目立つので、ぬいぐるみという事にして
てつこが持ったまま、家へ向かうバスに乗ることにする。
『ぬいぐるみ?』
「だまって力ぬいて人形のふりしてればいいのよ。バレたら放り出すからね」チッ
『はいっ!』ビシッ
リリが入っていたケースは、ちょうど通りかかった空港の係員のおじいさんに
ゴミとして回収してもらった。