12/09/06 23:01:52.93
「少年はその時群青の風をみたか?」酒井美詠子
1・
19世紀の倫敦、
そこでは毎晩、ルパンとホームズ率いるスコットランドヤードの攻防が繰り広げられていた。
そして日中、新興の成金男子校・ケンジントン高校で、二人は何食わぬ顔で同級生として過ごしていた。
クールなシャーロックと派手好きなラウール。
モーリスなどの友人には正体を知られつつも、二人は学校中の人気者として二つの生活を楽しんでいた。
彼らの友人、エドガーの口癖は「群青の風が見えたら何かが変わる気がする」
心優しいエドガーは、厳しい父親が押し付ける進路に悩んでいた。
そんな折り、彼は新任の教師、モリアーティーと意気投合し、何かと相談をする仲になる。
一方、ルパンの元には謎の手紙が届いたり、先回りでお宝が盗まれた挙句に被害者が殺されたりと
不穏な事がおき始める。
そして、エドガーが心を砕いていた救貧院が放火により焼失。
残された手紙の特徴から、ホームズは「一連の出来事はルパンにあてつけている奴と同じだ」と推理する。
すっかり消耗したエドガーを彼の父親が強引に連れ戻しに来た。
学校の成績が酷いとモリアーティーに吹き込まれ
「医者など言語道断、軍隊に入れる」と大変な剣幕で宣言する父親。
医者どころか、人殺しをする軍人にさせられる・・・
あまりのショックにパニックになったエドガーを見て、シャーロックとラウールはモリアーティーに詰め寄る。
「心理学のサンプルとして、エドガーで精神破壊の実験をしたまで」
「同じ犯罪者として、ルパンに一泡吹かせる為」と哄笑して、去るモリアーティ。
二人は、壊れてゆくエドガーを見守ることしか出来なかった。
151:少年はその時群青の風をみたか?
12/09/06 23:03:04.36
2・
あの日以来、泥棒稼業も出来ずに公園でボケっとしていたラウールは、ジルと名乗る少女に出会う。
貧民街の家に住みながら、豪華な服に豪華な調度品。
不自然に感じたラウールに、ホームズは彼女の父親、ジョンの正体を教える。
その頃、モリアーティーは次のターゲット「聖エドワーズの王冠」を盗み出す算段をしていた。
彼の盗み方は、自分は表舞台に出ずに他者に実行させるというもの。
今回の捨て駒として選ばれたのは、ジョンだった・・・
それを知った二人はジルの元に駆けつけ、体の弱いジルが高熱で倒れているのを発見する。
父親の正体を知っていたジル。
しかし、彼女は「大事なのはお父様が他人にどう見えるかじゃない。どういう人間かってことだもの!」と叫び
ラウールとホームズの心をかき乱す。
その言葉に自身のアイデンティティを取り戻したルパンは、颯爽と王冠を盗み出し、華麗な復活を遂げた。
152:少年はその時群青の風をみたか?
12/09/06 23:03:42.18
3・
クリスマスも近づいたある冬の日、ラウール達は心を閉ざしたエドガーが、所領に連れ帰される事を知らされる。
彼の日記によく登場しているお気に入りの「群青の風」という絵を見たら、症状が良くなるかもしれないと
考えた二人は早速、絵を盗みに行く。
しかし、ギャラリーに先回りしていたモリアーティーの手によって、絵は奪われてしまう。
誰からも愛される「特別」なルパンに嫉妬するモリアーティーは、腹立ち紛れに絵を爆破してしまう。
しかし、少年達は走る。今日はクリスマス、だから奇跡が起きてもいいはずなんだ。
エドガーを連れて来た先には、一面の雪野原と、その景色をまるで額のように包み込んだ木枠を必死で支える救貧院の子供たち。
風よ吹け。そして、無理矢理にでも奇跡を運んで来るんだ・・・!
少年はその時群青の風をみたか?
FIN
153:マロン名無しさん
12/09/07 00:56:13.82
名前が二つありますが、学内・公共の場などで発言している時はラウール、
泥棒として活動している時はルパンと書き分けています。
シャーロック・ホームズに関しては、どちらかに統一するべきでした。
分かりづらくて申し訳ありません。
154:マロン名無しさん
12/09/16 09:11:24.51 IlWZKkpC
おつです!
155:マロン名無しさん
12/09/20 22:54:32.50
いがらしみきおの「ぼのぼの」、最新刊までの大まかな流れを教えてください。
お願いいたします。
156:マロン名無しさん
12/09/21 04:33:30.29
あー、ぼのぼの出てないのか…
じゃあ予約します。