12/01/17 21:23:26.42
一方そのころ、ゼブラゾーンにさらなる正体不明艦が到着しようとしていた。
その艦は極秘任務を受けた連邦軍の戦艦エイジャックスで、ブレイウッドへの任命書をもっていた。
そして指令通りエイジャックスに派遣されたアイリスは、そこで二機のネオ・ガンダムの調整をすることとなる。
さらにそのころ、オバリー少尉とシェフィールド大尉はMSに乗ってデータの受け渡し場所に移動中だった。受け渡し場所にはネオガンダムに乗ったガレムソンがいた。
待っていたのが連邦だったことに驚きつつデータを渡すと、いきなり攻撃を受け、オバリー少尉が殺される。激怒したシェフィールド大尉が応戦するもののエネルギー切れで撤退を余儀なくされる。
帰ってきたネオガンダムに戦闘のあとがあったのを見たアイリスはガレムソンに詰め寄るがそのまま監禁されてしまう。
トキオはエイジャックスにガレムソンがいることを知り過去を思い出す。
ガレムソンは三年前、トキオが特殊部隊にいたときの隊長だった。
残党狩りを自分の楽しみのためにやっていたガレムソンに反抗して処分を受けたことがあったのだ。
ガレムソンの元へ行くトキオ。ガレムソンから今回の一件のネタばらしを受ける。
今回の事件はアナハイムの上層部と連邦軍が組んで、クロスボーンとブレイウッドを交戦させデータを集めた上で両方始末するという計画だったのだ。
ガレムソンと銃撃になりからくも逃げ出したトキオはアイリスを救出しネオガンダム二号機に二人で乗り込んだ。
その時、レイラとケビンが助けにきてレイラがトキオが置いて行こうとしたRXF-91に乗り込んだところ、ガレムリンをレイラが発見し、逆上してガレムリンを殺そうとする。
ガレムリンこそ、レイラのコロニーで虐殺をおこなった張本人だったのである。
790:シルエットフォーミュラ91
12/01/17 21:24:51.40
レイラを抑えてエイジャックスから逃げ出したトキオたちはガレムリンの乗るネオガンダム一号機に攻撃を受ける。
レイラが初めて乗ったMSで驚異的な機動を見せネオガンダムに対抗するも形勢は不利になる。
そこにガレムソンを狙いシェフィールド大尉がやってきてガレムソンに攻撃を仕掛ける。
その隙にコロニーの中に逃げ込んだトキオたち。エイジャックスがコロニーを砲撃しようとしているのを発見し、ネオガンダムのビーム砲でエイジャックスを撃沈させた。
そこにガレムソンが追いついて攻撃をする。トキオとレイラ二人がかりでも苦戦する状況で、アイリスの指示通りトキオの乗るネオガダム二号機がガレムソンの乗るネオガンダム一号機の背中をはがいじめにする。
実は二号機はコアブロックシステムを採用していたので機体は羽交い絞めにしたままコアファイターで脱出するトキオ。
身動きが取れないネオガンダム一号機を二号機ごとレイラが切りつけトキオがとどめをさしてガレムソンを倒すことができた。
喜ぶトキオたちを遠目に見ながらシェフィールド大尉は彼らを見逃し帰還していった。
結局今回のことは事故として処理され、さらに帰還したときにはフロンティアⅣ襲撃事件が起こった後だったので騒ぐこともできず元の生活に戻るのであった。
しばらくして再開するトキオたち。トキオは軍をやめていた。アイリスは今回の事件の戦闘データをすべて隠して会社に渡さないでいた。
それを知ったトキオたちが笑いあっておしまい。
791:マロン名無しさん
12/01/17 21:25:48.35
というところで機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91はおしまいです。
792:マロン名無しさん
12/01/17 23:38:13.05
お次はSci-Fi HARRY
Sci-Fi HARRY漫画版は二種類あって東城麻美と阿部忍の二人が描いてる。
東城版は1995年刊行で二冊で途中打ち切り。安部版は2001年刊行で完結済み。
東城版に読む価値はまあ無いので安部版のストーリーを。
793:Sci-Fi HARRY
12/01/17 23:40:54.03
舞台は現代アメリカ。とある大学のバスケットの時間。気弱で運動もできないハリーのところにボールが来た。
お前に何ができるはやくパスしろと周りにせっつかれるなか、クラスメイトのキャサリンがシュートして!と声をかけてくれた。
やる気を出してシュートするハリーだったがなぜかゴール後ろの窓が割れガラスがキャサリンに降り注ぐことに。
それが原因でクラスメイトに殴られているのを助けてくれたのはキャサリンの恋人のジョンだった。
一方そのころ、町では器物破損事故が多発していて刑事が捜索していた。道路標識が捻じ曲げられたり信号機がねじ切れたり……
ベンチに座りいじめられている時のことを思い出しているとキャサリンがやってきてやさしい言葉をかけてくれ、キャサリンが気になってくるハリー。
その夜、キャサリンがジョンとデートをしていると不意を突かれキャサリンが連れ去られてしまう。
犯人は昼間ハリーをいじめていたクリスだった。レイプされる間一髪のところに現れたのは、キャサリンになにかあったと勘でわかったハリーだった。
しかしハリーはクリスに強く言えず殴られ、キャサリンを助けることができない。
いよいよキャサリンが危ないとなったとき、近くの工場が大爆発を起こして炎上し、それに驚いたクリスは逃げて行きキャサリンは助かるのであった。
一方そのころ、刑事たちは爆発のあった工場の近くで起きた首をねじり殺された変死体を発見していた。
ハリーはキャサリンの家に招かれていた。
キャサリンの弟のエリオットが見ているテレビに出ていた超能力者ミラキュラス・ミックのスプーン曲げを真似てみたところ驚くほど簡単に曲がるのである。
何度やってもスプーンは曲がる。これでハリーを馬鹿にする人は誰もいなくなるとキャサリンは大喜びする。
一方そのころ、変死体を捜査する刑事たちのもとに、別の場所でも同じ殺害方法の変死体が発見された報告が入る。その場所は奇しくもキャサリンの家の近くであった。
公園でキャサリンとともにスプーン曲げの練習をするハリー。
一方そのころ同じ公園で母親が子供の前で首を折られ殺害されていた。
大学の校舎内でクリスとジョンの喧嘩を止めるためナイフを曲げるハリー。
一方そのころ、校舎の外では首を折られた学生が……
794:Sci-Fi HARRY
12/01/17 23:44:10.87
超能力があると自覚したハリーはキャサリンに連れられTVショーに出ることに。
首が折れる変死事件の新聞を見ながらその番組のCMを見ていたジョンはハリーと変死事件の関係を発見する。
ハリーの超能力はコントロール不能で周りの人の首を折ってしまうことをハリーに告げるジョンだったが、
やっと巡ってきた自分のチャンスを捨てられないハリーはジョンを気絶させTV局へ向かう。
ハリーのTVショウがはじまる。
刑事を連れてTV局に入るジョン。
デモンストレーションで満員の観客の前でスプーン曲げを行うハリー。
TVスタッフがジョンの目の前で首を折られて死ぬ。
いよいよハリーのスプーン曲げを電波に乗せる間際、ジョンが放送を止めることに成功する。
そしてスタジオに向かったジョンが見たものはハリーとキャサリン以外観客が全員首が折られて死んでいる状況だった。
ぼくじゃない…そういって力を解放させたハリーはスタジオを爆発させ行方をくらますのだった。
ハリーを探すジョンはTV局のプロデューサに会う。その帰りなぜかFBIに拘束されそうなところを刑事にたすけてもらう。
もう一度プロデューサーに会いに行くが首を折られて死んでいた。彼が残したメッセージから告発者アキューザーという言葉が浮かび上がる。
ハリーは謎の組織に拘束されていた。その組織の名はアキューザー。
そこで、スタンリーという男にレイプされそうになったハリーは力を暴走し脱出をする。そしてジノリという少女に助けられる。
ジノリと友達になるハリー。裏切らないでねというジノリ。
そこにハリーの勘がキャサリンの危険を感知する。キャサリンはハリーによってTV界を追われたミラキュラス・ミックに襲われていたのだった。
そこに駆けつけるハリーだったがミックがハリーに銃を突きつけ絶体絶命。
しかしミックは逆に超能力で首を折られ死ぬのであった。
そこに現れたヘリ。急に熱を出して倒れたハリーをそのヘリに乗せるキャサリン。とそこには謎の組織アキューザーのケイトがいた。
ハリーを預けて一息ついたキャサリンのもとに子供とは思えない冷たい顔をしたジノリが現れる。
ハリーが帰りたいというから帰らせたのに…とキャサリンを責めるジノリ。そしてもうハリーは返さないからと告げ去っていく。
795:Sci-Fi HARRY
12/01/17 23:47:52.04
ハリーの容態を見ていたケイトのもとに扉をサイキックで壊しながらジノリが入ってきた。
口論の末、ハリーを殺そうとしたスタンリーをサイキックでバラバラにして殺してしまうジノリ。
そしてそのままハリーを自分の家に連れ帰ってしまう。
そのころFBIと接触していた刑事はアキューザーの正体を知る。
アキューザーとは冷戦が終了して不要になったCIAが持っていた冷戦時代のアメリカの暗部と言っていい会社を買収した企業家やCIA・OBによる組織だったのだ。
ジノリの家に連れていかれたハリーだったが、今までのことがうそのように穏やかに、二人で楽しく暮らしていた。
ところが、アキューザーからハリーに抹殺指令が出ていたのだ。
ハリーを暗殺しようとした少女をサイキックで殺そうとするジノリだったが、その少女は対サイキック用に強化されていて逆襲される。
そこへ現れるハリーだったが様子がおかしい。
ハリーは何者かに体を乗っ取られていたのだ。のっとっていた存在こそが真のアキューザーであった。
真のアキューザーとはCIAによって利用され、冷戦時代に繰り返された薬物実験などで後遺症に苦しむ超能力者たちだったのだ。
彼らはCIAの管理下に置かれジノリの家の地下で植物人間状態で幽閉されていたのだ。
ハリーの体を乗っ取ったアキューザーはその、超能力を電波に乗せる力を利用してアメリカ国民すべてにアキューザーが味わった苦痛、屈辱、罪を知らしめようとしていた。
アキューザーの力を束ねる存在として生まれたジノリはアキューザーに裏切られサイキックも使えなくなってしまった。
ジノリはハリーを取り返すためにハリーの心にダイブする。そこはTVショーの舞台だった。
アキューザーに唆され、もう一度、今度はちゃんとスプーンを曲げるから邪魔をするなとジノリに告げるハリー。
ジノリはハリーを説得する。
796:Sci-Fi HARRY
12/01/17 23:49:17.09
「超能力なんかなくたっていいじゃない。普通のハリーでいいじゃない」
「それじゃ駄目なんだっ!何も無い僕じゃ!ジノリにはわからないよ。僕のことなんか」
「わかるわよ……ずっとあの家で一人で暮らしていたのは人の悪意に触れないためよ。人は必ずいつか私を裏切る……でも」
「ハリー……あなたは違う。人に悪意を持たない。うらやんでも畏れても悪意は持たない、裏切らない」
「私はあなたのそばしかいられないの」
「ハリー」
そう言ってハリーの心の中から消えるジノリ。
ジノリの説得でアキューザーに刃向うハリー。200人の超能力者たちであるアキューザーを圧倒するほどのサイキックが発揮される。
気を失っていたハリーはキャサリンに起こされる。人間として成長したハリーはキャサリンに別れを告げジノリのもとへ向かう。
そのころ、組織の方のアキューザーは軍隊によって攻撃されていた。FBIとCIAを束ねる男、アメリカ合衆国大統領の命令でアキューザーを、ジノリを消すよう命令が出たのだ。
ジノリは自分の家でハリーのことを思い涙していた。
銃弾を止め、攻撃ヘリを落とし、ジノリの家に向かうハリー。そして二人が出会い、抱き合った瞬間、戦車による砲撃が……
一年後
スプーンでアイスを食べながらTVの野球中継を見ている大統領。突然画面にハリーが大写しになる。
場面は変わって野球場。ハリーとジノリは手をつないで野球場にいる。
「あの人TV見てたかな?」
「それは大丈夫だと思う。でも……」
「また、はずしちゃったかもしれない」
曲った血まみれのスプーンが描かれておしまい。
797:マロン名無しさん
12/01/17 23:53:31.09
というわけでSci-Fi HARRY以上です。
アニメのほうはもっと無茶苦茶でアキューザーの正体がアメリカ国民全員のことだったり、
ラストはジノリとハリーがフュージョンENDという理解不能の終わり方だったりした怪作でした。
798:マロン名無しさん
12/01/18 00:20:16.56
最後に半熟忍法帳の雑誌で掲載されなかった話(単行本書き下ろし分)
全体のストーリーは割愛して該当部分だけ。
799:半熟忍法帳
12/01/18 00:21:14.38
最終回からしばらくして、沙織が大頭に嫁いだことで紅影団は火車忍軍に吸収合併されていた。
そんなある日、敵組織に沙霧が襲われていることがわかり沙霧のもとに急ぐ小頭だったが、ぼろぼろの沙霧をかばい刀で顔面を切られそのまま川に落ちてしまう。
そして小頭を助けるために川に飛び込む沙霧。
沙霧が小頭の顔面の刀傷を触るとずるりと顔の皮がはがれ月影の顔が出てくる。
実は小頭の本当の顔は月影で、昔雷太たちを拾った時に厳しく育てるために鬼のような顔に変装して生活するようにしていたのだった。
敵組織を片付けたのちのある日、桔梗(沙霧)が小頭のもとへ歩いていた。沙霧は小頭のために桔梗として変装したまま小頭と結婚しようとしたのだ。
小頭にプロポーズする桔梗だったが、小頭は沙霧が好きだからといって断る。
そして桔梗は変装をといて正体をばらし沙霧として結婚することとなった。
月日はめぐって数年後。
かすみと疾風の祝言の日。
二児の母で三人目を身ごもっていた沙霧と月影のままの小頭などがいるなか、
ウエディングドレスのかすみと紋付の疾風の結婚式が紅影団やいつものメンバーでドタバタになっておしまい。
800:マロン名無しさん
12/01/18 00:21:42.75
これで半熟忍法帳の雑誌で掲載されなかった話(単行本書き下ろし分)はおしまい。
801:マロン名無しさん
12/01/18 01:33:26.82
サイファイハリーとシルエットフォーミュラ読みました、乙です
802:マロン名無しさん
12/01/18 18:53:22.33
>>800乙
ハリーが無敵すぎておもしろかったw
803:マロン名無しさん
12/01/19 20:58:38.10
タイトルが思い出せないんだけどストーリーが気になって気になって。
学園
複数で夜の学園に潜入
夜の王?的なことば
アンデッド
10年位前に見た。
わかる方いらっしゃったら教えてください。
804:マロン名無しさん
12/01/19 22:24:21.22
相川有の「DARK EDGE」じゃないですか?
なら書けますけど
805:妖狐×僕SS 1/5
12/01/20 13:22:56.12
●基本設定
「メゾンド・章樫(あやかし)」という、高級マンションが舞台。
特別な家柄の者しか住むことを許されず、厳重なセキュリティが施され、
住人一人につき一人のシークレットサービス(以下、SS)がつくという。
実は住人は従業員も含めてほぼ全て、妖怪と人間が交わった末の子孫で、
そのうちでも珍しい、妖怪としての特性を色濃く持った「先祖帰り」たちだった。
先祖帰りたちは、始祖となった妖怪と同じ日・時間に生まれ、同じ容姿と性質を持ち、
稀にその記憶を受け継ぎ、不思議と同じ運命を辿るとされている。名前も初代のものをつけるのが慣例。
普通の子供のように両親の特性を継がないこと、人間離れした性質を持つことから、
先祖帰りは家庭内で異形視される事が多いため、マンションに身を寄せ合う事が確立された。
また、先祖帰りは純粋な妖怪に狙われることがあるため、互いに守り合う必要もあった。
SS制度はそのためのもので、主従としての拘束性はそれほど強くない。
●一章
白鬼院凜々蝶(しらきいいん・りりちよ /以下、りりちよ)は鬼の先祖帰りの少女。
妖怪の血を受け継ぐ家は何故か栄えるため実家はお金持ちで、
その事をやっかまれでいじめられたり、純粋な人間である妹と比べて親から愛情をそそがれなかったりと、
あまりいい環境で育たなかったせいで、なにかされる前に先手で冷たく暴言を吐いてしまう悪癖があった。
そんな性格を変えたいと思いながら、長年の習慣で変えられないことを、僕っ子であるりりちよは、
「時間は重みだ 僕はそう思う」
と内心でつぶやいた。
人と上手く接する事が出来ないりりちよは、高校進学を機に、一人で暮らすために家を出た。
メゾンド・章樫に入居する事になったが、一人で生きたいからとSS契約もしていなかった。
マンションにつくと、そこには何故かりりちよのSSを名乗る青年がいた。
御狐神双熾(みけつかみ・そうし)というその青年は、
何故か初対面のはずのりりちよを崇めており、「凜々蝶様」と呼んで慕い、
自主的にりりちよを守るためのSSに志願してきた。りりちよの転居の情報を得て前日に越してきたという。
身に覚えのない好意を向けられりりちよは困惑するが、ストーカーチックな双熾を仕方なくそばに置くことにした。
806:妖狐×僕SS 2/5
12/01/20 13:24:20.84
りりちよは危機を何度か双熾に救われ絆を深めていきつつ、
同じマンションに住み同じ高校に通う他の先祖帰りとも仲を深め、
少しずつ悪癖の払拭に励むようになった。
その他の主なメインキャラ
・反ノ塚連勝(そりのづか・れんしょう)
一反木綿の先祖帰り。普段は普通の姿で高校3年生。りりちよとは幼馴染である。
悪態をつくものの文面では本音を出せるりりちよからよく長文の手紙をもらっており、理解者。
・雪小路野ばら(ゆきのこうじ・のばら)
雪女の先祖帰りで成人女性。反ノ塚のSSを務める。
若干百合っけがある。
・青鬼院蜻蛉(しょうきいん・かげろう)
りりちよと同じく鬼の先祖帰りの青年。常に仮面をつけた変態。口癖は肉便器。
慣例としてりりちよの許嫁で、文通していた。
・髏々宮カルタ(ろろみや)
がしゃどくろ(巨大なドクロ)の先祖帰り。普段はりりちよと同い年の少女。蜻蛉のSS。
ぼんやりとした性格で食べ物ばかり食べている。
・渡狸卍里(わたぬき・ばんり)
豆狸の先祖帰り。普段はりりちよと同い年の少年。カルタの幼馴染で思いを寄せる。
・夏目残夏(なつめ・ざんげ)
百目の先祖帰りの成人男性。渡狸のSSを務める。
過去未来、人の思考、物理的なものに関わらず様々な物を見通すことができる。
807:妖狐×僕SS 3/5
12/01/20 13:25:54.53
先祖帰りの扱いには家庭ごとに差異があった。
尊ぶ家もあれば差別するところもあり、かつての双熾は軟禁されていた。
両親が誰かも知らないような環境で双熾は、汚い手を使ってでも自由を得ようともがいた。
手始めに使用人女性に体で媚を売り、より上の立場の女性に近づいていき、
とうとう一族の中で一番立場の強い女性に行き付き、先祖帰り家系の集まりに顔を出せるまでになった。
そこで出会った御狐神家より立場の強い家の女性は、
先祖返りの子供を持つ母親で、見返りなしに双熾を引き取った。
その家の息子は蜻蛉で、まだ子供である彼の世話を見る代わりに、
双熾は給与をもらい、いつかその金で家を出て一人で生きようと考えていた。
双熾がりりちよを知ったのは、蜻蛉に彼女からの手紙の返事を書くよう求められてだった。
手紙で知るりりちよは、繊細で潔癖そうな少女だった。
物心ついた時から他人に媚を売るための作法ばかり学習してきた双熾は、
淡々と相手が好みそうな内容を返信し続け、あくまでも仕事として手紙を書いていた。
だがいつからか、感傷的なりりちよの文に牽引されるように、
無感動だった双熾の中に感情が生まれていった。
一度りりちよは蜻蛉の家にやってきた。
遠くから見た実際のりりちよは、傲岸不遜な物言いをする子だった。
あんな子があの手紙を書いていたとは思えず、向こうも代筆だったのではと双熾は一度落ち込んだものの、
表面上は強気なりりちよが、他人の家ですごす緊張から帰宅した後吐いたということ、
代筆を頼む器用さもなく手紙はやはり自筆だった事、家庭の事情などを蜻蛉から知らされ、
自分と同じように不遇な立場にいながら感情を殺せず耐え続けているりりちよを守りたいと思うようになった。
というのが双熾がりりちよを以前から知っていた理由だった。
りりちよは文通の相手が蜻蛉ではない事には気づいていたが、まさか双熾だとは知らず、
蜻蛉の暴露により真実を知った。好意を寄せてくれる双熾のためにもと
りりちよは性格矯正をがんばるようになった。
808:妖狐×僕SS 4/5
12/01/20 13:27:11.74
マンションの専属コックは河童の先祖帰りで、彼の息子は普通の人間だった。
先祖帰りは始祖と同じ特性を持ち、言い換えれば生まれ変わりのようなものだった。
「お父さんが死んだらまた生まれ変わるんですか?
お父さんは来世でお母さんと違う人と結婚して僕じゃない子供のお父さんになるんですか?」
不安がるコックの子供のために、来世のコックに向けてタイムカプセルを残そうという企画が起こり、
りりちよたちも手紙を書くことになった。
来世の自分なんて実感がわかないからとりりちよは、差し当たっての目標として、
「悪癖を直して双熾のそばにいたい」的な事を書いたところ、うっかりそれを双熾に見られてしまった。
りりちよは激しく動揺したものの、口頭で改めて愛を告げ、双熾と交際するようになった。
りりちよと双熾はラブコメな日々をすごし、りりちよ入居後から半年ほどがたった。
そんな時、先祖帰りたちの眠れる妖怪としての本能を呼び起こし、
「百鬼夜行」を行い人間に害なそうとする謎の少年・犬神命(いぬがみ・みこと)が現れた。
それに逆らい立ち向かうりりちよたちだったが、犬神は強く、
りりちよをかばおうとした双熾は首を切り落とされ絶命した。
やがてまた春が訪れ、一人の少女がマンションに引っ越してきた。
つい人に悪態をついてしまうその少女はりりちよという。
彼女の前に現れた青年・双熾は、何故かりりちよを「白鬼院様」と慕い、SSになると申し出た。
りりちよは初対面の彼を前に、何故か涙をこぼした。
「時間は重みだ 僕はそう思う」
第一章終わり
809:妖狐×僕SS 5/5
12/01/20 13:30:38.43
●二章
りりちよお金持ちの子で、、家におもねり表面上だけ愛想よく接してくる同級生らに苛立ち、
人を遠ざけようとつい悪態をついてしまう悪癖を身につけていた。
マンションに移り住んでからは、SSの双熾や他の住民に囲まれ少しずつ丸くなっていった。
そんな彼女の前にある日、中年男性の姿となった反ノ塚が現れた。
その姿を見た瞬間、りりちよは意識を失った。
実は二章は一章から23年後の話で、りりちよを始めとするほとんどのキャラは、
一章のキャラの来世であった。反ノ塚だけは死なずにそのまま年を取っていた。
一章双熾の死後、一章りりちよはふさぎこみやがて死んだ。
百鬼夜行について調べようとした他の面々も次々に死んでいき、百鬼夜行の消息も途絶えた。
先祖帰りとは、ただ祖先の特性を継ぐのではなく、本来不死のものである妖怪が人とまざった事で、
人の腹を介して何度も再生している姿だともいえた。
生まれ変わった先祖帰りらは、りりちよと双熾は一章と同じ年齢差だが、
カルタはだいぶ年上の二十歳、野ばらと渡狸はりりちよより年下になった。
りりちよと双熾と渡狸以外の面々は、つい十数年前の事である前世の記憶を思い出していた。
彼らは時々集まっては、自分たちの死の原因をつくった百鬼夜行とはなんだったのかを調べ続けていた。
前世の事を忘れているりりちよらに、辛い記憶を無理に思い出させたりしないようにしていた。
人の心をある程度見ることのできる夏目は、双熾は本当は前世を思い出しているのではと疑っていた。
反ノ塚と再開し倒れた後、りりちよは悪夢を見た。
誰かの生首を抱いて泣くというものだった。
目覚めたりりちよは、夢の中の生首と同じ顔の双熾の姿に違和感を訴えた。
双熾はりりちよのことを、「白鬼院様」から「凜々蝶様」に言い換えるようになり、
暗示をかけるかのように、悪いことは全て忘れるよう諭し、
りりちよは胸に引っかかる断片的な記憶を忘れることにした。
以下連載中