【TRPG】ブラック魔法少女3at CHARANETA2
【TRPG】ブラック魔法少女3 - 暇つぶし2ch2:佐々木 真言 ◇EDGE/yVqm.
12/12/25 00:53:06.21 0
魔装状態のまま店内に入った佐々木。
それには理由がある。魔法少女である事を示す事と、敵対するかもしれない者の中に無防備で立てる程剛気な性格はしていない、という二つだ。
息を吸い、吐き出すことで己の中にリズムを作り、心のなかに落ち着きを作り出す。
瞳には強い輝きを宿さず、かと言って暗さもなく。掌握された安定状態で、佐々木はキッtンへと歩いて行く。
この姿を他の客が見なかったことは間違いなく幸運だったにほかならない。日常の中にどう見ても辻斬りの少女が紛れ込んでいるようにしか見えなかったのだから。
魔力を隠蔽するのは最早癖で、暗殺者のように足音すら立てずにキッチンへと歩き、こっそりと中を覗きこむ。

(―悪魔と、魔法少女が……、5人? 他に―あそこに居るのは、悪魔。
 魔力を感じる人がもう一人、か。……人外魔境、なの、かな。

魔法少女五人と、魔女一人、そして悪魔。
間違いようもなく、一人で挑むには不利にも程がある戦力が目の前にはあった。
幸いなことに個々の魔力はそれほど多くは無いが、徒党を組み、協力的な悪魔の存在が有る事は脅威だ。
基本的に佐々木の戦闘スタイルは、不意打ち闇討ちを主体とした暗殺が主なのである。
乱戦や正面からの戦いも苦手なわけではないが、魔法少女という常識が通じない相手を敵とした時点で有利の状況を作ってから狩り続けていた。
この状況は間違いなく、不利。そして、佐々木が魔法少女を倒すと決めるのには、ルールが存在している。
そのルールを未だ5人の魔法少女達は満たしていない為、佐々木は剣を抜くことはあっても、殺害に進む予定は無い。

佐々木は隠密に長ける。
自己を他者から隔離させるように、念動力の力場を膜の様に全身に纏っているからだ。
外部に力を殆ど解き放たず、殻の中で魔力を行使する佐々木は、古武術の体捌きによるものも相まってかなり薄い気配を持つものだ。
佐々木は部屋の中での会話に耳を傾け、脳内で彼らの性質をプロファイリングしていく。

>「今のチミ等は”まだまだ”自分の持つ魔法ってのを開花しきれてないのさ。だからアタシの手で、見違えるほどに花開かせてやるよ―!」

(―、修行か。そして、新米にお守りに悪魔が一人。
 ……ッ、気づかれてる……か。あの、女の人も)

状況から、彼らは何らかの目的のため強くなりたがっている事は分かった。
少なくともエルダー級に対抗できるほどの戦闘力を身につけようとしていることも。
そして、先のエルダー級の魔法少女を思う。
世界征服。その壮大な目的と、それを達成せんとする強い意志とそれに見合う実力を持った魔法少女だった。
世界平和のために世界を征服する。それを間違っていると佐々木は一刀両断に断じる事は出来ない。
己の夢である、この世からあらゆる悪を抹消する事だって、ある意味では悪人を皆殺して作る世界平和だ。
だからこそ、あの相手の有り方が間違っていると言う事は出来ない。
だが、それでも腰の巾着に収められた魔法核が、あの魔法少女の恐ろしさを教えてくれている。
一瞬で相手を肉塊に変えるあの戦闘力よりも、あのゆらぎ一つ見えない深い瞳が一番の恐ろしさの確証を与えている。
同時に、あの相手を自分一人で倒せると思える程幸福な精神構造を佐々木はしていない。

>【屋守】『どうもそいつが持ってるみたいだぜ。縁籐きずなの魔法核』

3:佐々木 真言 ◇EDGE/yVqm.
12/12/25 00:53:39.48 0
出る機会を伺っていた佐々木に、機が与えられた。
迷うこと無く、黒い鴉はキッチンへと足を踏み入れる。コートの裾をひらつかせ、足音一つ生むこと無く。
金髪黒目の魔法辻斬りが、五人の魔法少女と一人の魔女、一人の悪魔の前にその姿を晒した。
黒い瞳は、伏せられる事も逸らされることもなく、全体の顔を確認するように部屋の中をぐるりと動いた。
一言も言葉を発しなかったのは、単に初対面の人と話す事が得意ではなかっただけで、それ以外の理由は存在しない。
だが、物々しい暗色の魔装や、彼女自身の纏う雰囲気がそれらを威圧として表現させてしまっていた。

>「ッ!」

「良い。動きだ」

飛び退る南雲を見て、素直な称賛を相手に送る。
開口一番の言葉は、どことなくぎこちない硬質な音色。
言うなれば、一週間引きこもってからコンビニで注文をした場合に出る類の声と言うべきか。
本来なら緊張で痙攣し始める筈の右腕は幸いなことに魔装状態であった為に念動力で掌握されている。
この一言は真言なりに精一杯のフレンドリーな対応だったが、きっとそうは見えないのだろう。

>『いらっしゃいませお客様、ご来店ありがとうございます―ご注文は?』

目の前の魔法少女から、問いかけが投げられて。
佐々木は、わずかに逡巡した後に念信を相手に返信する。
どうやら他人と念身するのがあまり得意ではないようで、繋がる際に僅かにノイズが混ざる。

『……エルダー級の魔法少女の情報を代金に。
 私一人では倒しきれないエルダー級の首級を取って、欲しい。
 あと、魔装を纏っているのは、気にしないで。……流石に知らない魔法少女五人前にして、無防備ではいられないだけ』

念話を全体に向けて、佐々木は軽く全体に向けて、会釈。
腰の刀には、常に手をかけ続けているが、それでも魔力はこの距離ですら殆ど漏れる事が無い。
この隠密性こそが類稀なる才能だ。特に魔法少女が多いこの場所ならば、他の魔法少女の魔力に埋もれて更に存在感が薄まってしまう。
敵が強ければ強いほど、数が多ければ多いほどに見つかりづらくなるのが彼女の特徴だ。
と言っても、透明になるなど視覚的な隠密能力は無い為、今のこの状況では単に奇妙な魔法少女であると言う以外に特筆すべき点は無い。

『先に言っておくと、現場には四人居た。
 私と、エルダー級と、縁籐きずなの魔法で作られた藁人形、そしてもう一人。
 もう一人には、ここに来るように言っておいた。どうにも、怯えていたものだから、承認にも良いと思って』

そう佐々木が念信を送った直後に、喫茶のドアが鈴を鳴らす。
店の入口には憔悴した様子で立ちすくむ、目立零子が一人。
不安げな顔は、恐らく恐喝されたからに他ならず、不安から逃げ出すように走ってきたのか荒く息を吐いている。
肉体的に疲労しづらい魔法少女だが、恐らく精神的な負担が彼女に肉体的な疲労感も感じさせているのだろう。
腰のだんびらに手を掛けたままに、佐々木は振り返ってその零子の方を向く。

『―聞こえるなら、こちらに来ると良い。
 緑藤きずなを私が殺してない証明は出来ないにしろ、私がエルダー級だという証明は貴方に出来るはず。
 ……良い?』

首を傾げ、オープンチャンネルで零子に語りかける佐々木。
揺らぐことのない零度の瞳が、零子に向けられて、小走りで零子はキッチンに入っていく。
憔悴した様子の零子を見て、落ち着くまで淡々と待ち続ける佐々木。
警戒を忘れぬままに、もう一度顔を覚えるように喫茶店の魔法少女、悪魔、魔女を見回していた。
多彩な面子であると、改めて思った。

(―……知らない人って、やっぱり。怖い、かも』

身も蓋もない本音が、半ば辺りから念話にだだ漏れだったが、佐々木は気づいていない。
見た目上では、先ほどから変わらぬ様子で目を僅かに細めて立ち尽くしているだけだった。


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