【TRPG】ブラック魔法少女2at CHARANETA2
【TRPG】ブラック魔法少女2 - 暇つぶし2ch1:名無しになりきれ
12/06/26 16:15:23.20 0
前スレ
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2:神田理奈 ◇O9eTRO0ZSM
12/06/26 16:16:15.35 0
「お願いします。私に、戦い方を教えてください――!!」

絞り出した私の声に、南雲さんがわずかに硬直する。
首に回した腕の感触からその肩が一瞬だけ震えて強張るのがわかった。
負ぶってもらってる私には顔の表情が見えないけれど……どうしよう、やっぱり困らせちゃったみたいです。

【南雲】「……うん。わたしに教えられること、そんなに多くはないけれど。がんばるから」

数秒の沈黙の後、南雲さんは静かに頷きそう言った。がんばらなきゃいけないのは、私のほうだ。

【南雲】「わたしも強くなりたいから―萌ちゃんに教えてもらいたいこと、たくさんあるよ」

萌さんは何も言わなかった。
代わりに自販機の水を買い、それを手にまじまじと私たちの顔を見つめる。
顎元に手を当てて何かを考えている仕草。あれ、何だろう、急に寒気が……貧血かな?

いたずらに上下を繰り返す体感温度と加速する季節感に混乱しつつ、私はカレンダーの日付を確認する。もうすぐ春休み。
磯野家や野原家の人たちは自分たちの生活を不思議に思わないのかな、などという月並みな疑問が頭をもたげたそのとき、

【南雲】「……『幸せ』って、何だと思う?」

南雲さんが呟いた。すごく難しいことを……呟いた。
国民的アニメのループ世界なんて月並みな疑問よりもっともっとありふれていて、だけど未だ誰にも解けない大きな謎の一つ。
大昔から続く、ヒトや生き物にとって永遠のテーマみたいなものだ。これがわかればきっとノーベル賞ものだよ。
以前私も叔母さんに聞いたことがある。
『それは誰もが知っているけど、誰もそれを知らないものよ』って、便利な言葉で誤魔化されちゃったけど。

隣を見る。麻子さんが何かを察したような、苦い笑みを浮かべた。南雲さんは続ける。

【南雲】「えげつないないよね、魔法少女って。自分で言うのもなんだけど、情弱しかやらないよこんな稼業。
     残業どころか給料も出ないし、福利厚生は最悪だし、離職率バリ高だし、職場いじめどころか殺し合いなんてやってるし」
     ブラック企業も助走つけて逃げ出すレベルで、魔法少女なんて名ばかりの、超絶ブラック―『ブラック魔法少女』」

「…………」

南雲さんの『それ』は決して『幸せ』に対する回答ではありませんでした。
けれど、ここにきて私はさっきの戦いで門前さんが『幸せ』について語っていたのを思い出す。
何を語っていたのか聞き取れなかったけど……門前さんが私の望んだものと真逆の魔法少女だったのは、何となくわかる。
ううん、違う。
ようやく私は現実を理解できたのかも。

闘って。打ちのめされて。奪われて。救えなくて。助けてもらって。奪い返して……。

『ブラック魔法少女』―むしろそれこそがこの世界の“リアルな魔法少女”の姿なんだって――……

3:神田理奈 ◇O9eTRO0ZSM
12/06/26 16:16:55.88 0
……私は感じた。揺らいだ。グラついた。悔しくても、この世知辛い現実を受け入れるしかないって。
私が信じた“魔法少女”は、やっぱり虚構の中でしか生きられない幻でしかないって。けれど、

【南雲】「わたしは、それでもやっぱり『魔法少女』でいたいよ。
     毎週わくわくしながら観てた、テレビの向こうの世界みたいに……笑って魔法を使いたい。なれるかな―」

南雲さんは続ける。

【南雲】「職業としてじゃなく、生物としてでもなく―"信念"としての魔法少女に」

    「…………」

私はしばらく何も言えなかった。
自分に“それ”を言う資格が―ううん、違う。私自身何て答えていいか、わからなかったから……
そのとき、躊躇いを誘う微かな霧を萌さんが吹き払った。

【萌】「……あたしガキの頃すっげぇ可愛い子だったの。今じゃ死んだ目だけどその頃はなんかおとなしそうな令嬢風でさ。
    で、親がやたらひらついた服ばっか買ってくんのよ。いかにもそういう子に似合いそーな」

振り返る私たちに向かって、萌さんは語る。
自分が格闘技を始めたきっかけを。いかにして悪魔と出会い、自分がどうして変身後に"あんな姿"になるのかを。
ちゃぽん。時折口に含んだペットボトルの水が、晩冬の夜光の下で冷凛と輝いた。

4:神田理奈 ◇O9eTRO0ZSM
12/06/26 16:17:28.54 0
【萌】「―以上、"自分"をちゃんと持ってないとろくな目に合わないというお話でした」

萌さんは自嘲的に肩をすくめたかと思うと、切り替えるように力強い笑みを浮かべた。

【萌】「逆に言えばさ。どこから来て今どこを歩いてて、何よりどこへ行きたいかが見えてりゃそんなに心配することないと思うよ。
    それは、間違ったあとに戻るべき場所がわかるってことなんだから

    だいたい、なりたいもんになれない程度のものを"魔法"だなんて言わせねーし」

ふいに、私は南雲さんの横顔をじっと見た。あんまりにもガン見してたせいか、南雲さんに気付かれた……ような気がした。
視線を合わせるのが気恥ずかしくなり、私は思い切り顔をそらす。ぶえんっ!

<―この翼で!どこにだって運んであげられる!!>

……うん、そうだ。そうですよね。
少なくとも、私は自分がどこから来たかはずっと知ってる……けど、どこへ行きたいかがいつもあやふや。
けれど、この人はそんな私にいつも道を切り開いてくれた―あの時だってそうだった。
私は萌さんの顔を見て、心の中でお礼をしつつ深く頷いた。もう一度視線を南雲さんの横顔に戻す。

「なれるよ……南雲さんならきっと、ううん……絶対なれる!!!」

南雲さんの翼には、願いを叶える力がある。
たとえ私が信じてるものがフィクションの産物で、偽者みたいなものでも、そればっかりは変えようの無い真実だ。
こればかりは嘘じゃない。嘘をつく必要なんて、どこにもない。

私は南雲さんの両肩に手を回し、抱きしめるように力を込めた。
そしてすぐに気付く―どうしよう、つい勢いでやっちゃった……。
多分赤くなっている自分の顔を隠すために、私は自分の頭を南雲さんの首筋に押し付けた。



――息を潜めているうちに、私はいつの間にか眠ってしまった。

ごめんなさい、南雲さん。多分貧血のせいです。


【萌さんの言葉に勇気づけられた後、南雲さんの背中で爆睡】

5:Interval ◇O9eTRO0ZSM
12/06/26 16:18:36.49 0
―それから後、彼女たちの会話をそれとなく聞きながら歩いていた猪間麻子はふと立ち止まった。
坂上南雲の言う『ブラック魔法少女』という存在について、彼女にも思うところは勿論沢山ある。
それでも敢えて何も言わずにいるのは、それが言うまでもないことだと判断したからだ。
南雲も、萌も、そして理奈も、自分たちがこれまで何を見てきたのかをはっきりと自覚した上で言葉を発している。

分かれ道にさしかかっていた。

【理奈】「…………」

南雲の背中に顔を埋める理奈からは規則的な呼吸音が聞こえてくる。すー……。すー……。むにゃむにゃ。

【麻子】(完全無欠・絶対無比・完璧かつ円満におやすみしてやがる―!)

あれだけの失血の後ならば仕方ないと思う反面、負傷したりシンドイ思いをしたのは何もお前だけではないだろうとやや苛立ちの表情を作りつつ、
麻子は理奈を背負う南雲を見上げた。Y字路に設置された街灯が半眼になった麻子の顔を仄かに照らす。

【麻子】「あたしと理奈は一旦店に戻るよ。少し休ませりゃ一人で歩けるようになんだろ。南雲は家が反対方向だよな?
     後は代わってやるよ―重いだろ、そいつ(色んな意味で)」

気を利かせた麻子に他意はない。南雲の住所を知っているのは従業員用の名簿で確認していただけだ。
無論、理奈を担ぐのはまともにやると疲れるので鎖で引っ張っていくつもりだが。

【麻子】「あんたは……どうする?」

萌にも尋ねる。時刻は【Tender Perch】の営業時間をとっくに過ぎている。先ほど当人も言っていたとおり、帰って飯食って風呂に入るのが幸せだ。
従業員用のまかないに興味がおありでしたら協力してさしあげますけどね……お客さん?――片目を閉じ、麻子は冗談っぽくそう付け加えた。


【麻子さんから選択肢】

6:Interval ◇O9eTRO0ZSM
12/06/26 16:20:26.43 0
  ※   ※   ※  


―もう一方

【ミサワ】「期待の大型新人現るー↑↑」

勝者の去りし戦場跡、瓦礫の海と粉塵の逆巻く「元・商店街」の一角で、男は呟く。

【ミサワ】「現るー↓↓(ため息)」

呟く。

【ミサワ】「僕はトンでもない拾い物をしてしまったようだ……」

がっくりと肩を落とすミサワ。こんなときでも顔に笑みを貼り付けたままだ。流石はプロ、見上げたものである。
坂上南雲。『ライトウィング<アサルト>』。往事の魔力数値、実に5100。単純に50個の魔力核を所持していたことになる数字だ。
魔法核の同調による魔力の上昇は以前から囁かれていたが実践できた魔法少女は少ない。……まさかこれほどまでシナジーを発揮するとは!
もはやエルダー級、いやいや、それ以上だって狙えるかm

【闇のセールスマン】「いやはや、これはまた随分と豪奢に花火をあげてくれたものですね―ミサワくん?」
【ミサワ】     「ボ、ボスッ!?……いえ、その、これには事情がありまして僕の命も危険が危なくてですね…………^^;」
【闇のセールスマン】「説明責任は求めません。いくつか懸念すべき状況が想定されます……が」
【ミサワ】     「……が?」

【闇のセールスマン】「あなたを消したところでそれらが解決するわけではありませんから」

【ミサワ】     「………………」

ミサワは―ミサワは最大限安堵すると同時に改めて確認した。「ああ、こいつは間違いなく悪魔なんだ」と。
ともあれ今回のことが不問となれば後は何も懸念することはない。
スカウトした魔法少女が注目される逸材となればそれだけで莫大なリターンが期待できるのだから。

倒された門前百合子と梔子 梓に視線を送る。
いつもならこの後首を切断するのだが、今回の上司にその様子はなかった。

【闇のセールスマン】「ああ、来ましたね。後は彼らに任せましょう」

いつのまにか、彼女たちの傍らにはそれぞれ一人ずつ違う人影が立っている。
彼らは敗北した少女たちの顔を覗き込むと満足げな表情を浮かべて指を鳴らした。
直後、門前百合子と梔子 梓の肉体は黒い沼のようになった地面に静かに沈んでいった。

【闇のセールスマン】「"アレ"らは私のものではありませんので、ね」

悪魔と魔法少女の契約関係による悪魔同士の横の関係について、ミサワは何も知らない。知ろうとも思わない。

少なくとも―ミサワは考える。
彼らがヒトよりも上の生態的地位(ニッチ)を支配している存在なのは、間違いなさそうだ。



【ブラック魔法少女 第四部 夜宴 篇 (了)】

7:坂上南雲 ◇E2LWmlZqtA
12/06/26 16:21:41.22 0
>「……あたしガキの頃すっげぇ可愛い子だったの。今じゃ死んだ目だけどその頃はなんかおとなしそうな令嬢風でさ。
 で、親がやたらひらついた服ばっか買ってくんのよ。いかにもそういう子に似合いそーな」

「それは、なんていうか……変わったんだねえ……」

萌の語る、過去の彼女の姿は、現在目の前に居る少女からはちと想像し難いものだった。
が、男児3日会わずんば刮目して見よと言うし、女児も十年ぐらい会わなかったらかように変貌するものなのだろう。
とは言え、どことなくそんな感じの面影を残してはいる。言われてみれば納得するぐらいには。

(背が高くて目に光がないけれど、立ち振舞には品があるし、足なんかすらっと長いし)

当人は反発しつつも、親の愛をしっかりうけて育ったのだろう。
南雲も人並み程度には愛されて育ったからわかる。萌の人生は、それはそれで健全なのだ。

魔法少女になる娘は、みんながみんな麻子のように強い渇望から垂らされた糸を掴んだ者ではない。
自分の人生を充実させるための一手段として参戦する者や、南雲を始めとした非日常を信じず日常の延長線を踏み間違えた者。
ゲーム感覚で超常の力に酔いしれた者……その在り方は様々だ。

>「―以上、"自分"をちゃんと持ってないとろくな目に合わないというお話でした。
 逆に言えばさ。どこから来て今どこを歩いてて、何よりどこへ行きたいかが見えてりゃそんなに心配することないと思うよ。
 それは、間違ったあとに戻るべき場所がわかるってことなんだから」

だからこそ、『願い』や『幸せ』といった、漠然としたものに誤魔化されて、魔法少女は道に迷うのだ。
魔法少女の戦いは、『指針のない航海』。萌の言うように、こればかりは他人任せじゃいられない。
定めるべきは、殺し合いという非日常に対する自分自身のスタンス。
翻弄されずに進むための足がかりを。

>「だいたい、なりたいもんになれない程度のものを"魔法"だなんて言わせねーし」

「……うん、そうだよね。わたし達は、魔法使いなんだから―わたしは、魔法少女になりたいんだから」

>「なれるよ……南雲さんならきっと、ううん……絶対なれる!!!」

萌の言葉を、背中の理奈が肯定した。
南雲が進むべき目標としている彼女。そのお墨付きがあるのだから、もう迷いなどあるはずがない。
南雲は二人の同僚たちの言葉を、目を伏せて聞き入り、そして真っ直ぐに前を見た。

「ありがとね。……もう、大丈夫」

彼女たちには、随分と救われた。
理奈がいなければ、最初の夜に南雲は死んでいただろうし、萌がいなければ狙撃手相手にどうすることもできなかった。

頼れる相手に頼りきりになるのは南雲の悪い癖だ。
自分がどれだけ弱いかを知っているから―死にたくない一心で、他人に依存する。
魔法少女の戦いは敵味方なしのバトルロイヤルだから、いずれは仲間とも決別せねばならない強迫がずっと南雲を苛んできた。
どれだけ頼りになる味方でも、最後には手ずから殺し合わねばならないと、そう考えてきた。

だが、今は違う。信念としての魔法少女ならば―システムに屈さぬ、本物の魔法少女ならば。
仲間と慣れ合う生温い戦い方を、良しとできる。堕落を平和と言い換えて、100%の肯定をくれてやれる。

―偽善を、貫く。
それが何を意味しているか、彼女はよくわかっていた。

「わたしは―魔法少女の戦いに、喧嘩を売る。この残酷を強要するシステムを、ぶち壊す」

屍の山の上に成り立つ紛い物の魔法少女―ブラック魔法少女から、彼女は飛び立つのだ。

8:坂上南雲 ◇E2LWmlZqtA
12/06/26 16:22:45.63 0
 * * * * * * 

いつの間にか、背中の理奈が静かになっていた。
もの凄く嫌な汗を掻いて必死に揺すってみたりしたところ、どうやら眠ってしまっただけのようだ。
つい先程までマジ死にしていた理奈だけに、南雲は心臓を無駄に痛めつける羽目になった。

>「あたしと理奈は一旦店に戻るよ。少し休ませりゃ一人で歩けるようになんだろ。南雲は家が反対方向だよな?
  後は代わってやるよ―重いだろ、そいつ(色んな意味で)」

「え……このままわたしの家に連れて帰って朝まで添い寝(いろんな意味で)する気まんまんだったんだけど!?」

眠ってしまったのなら好都合とばかりに悪い顔をしていた南雲は、突如の麻子の提案に理奈を落としそうになった。

(黙っていればいいものを、この女、どうしてくれようか……いっそ麻子っちゃんごと連れ帰ってサンドイッチの具になりたいっ!?)

わりと悪くない想像だ。付け合せに萌も添えておきたい。
着々と脳内で完成しつつある酒池肉林の極楽浄土に、南雲は鼻息を荒くしながら、しかしそこであることに気付いた。

(待てよ……テンダーパーチはとっくに閉店時間。店長はどうせ「夜更かしはお肌に悪いのよん」とか言って早々にご就寝!
 いま、店内には誰もいない……ッ!!わざわざ家まで連れ帰らんでも、あそこなら全員と同衾したって不自然じゃない!!)

南雲は一瞬で思考をまとめ、努めて平然と言葉にした。

「まあ、まあ、麻子ちゃんも疲れてるでしょ。小学生に小学生のお守り任せて帰るなんて坂上南雲の名が廃るわ!
 ここは高校生のおねーさんに任せておきなさい。店まで送ったげるよ―そうだ、」

南雲は『そうだ、』の部分で、さもたった今思いつきましたよと言わんばかりに掌を打った。
完璧な演技だったと自負している。ちょっと悪い顔が漏れでたが。

「確か、店には従業員用の簡易シャワーがあったよね。近くにスーパー銭湯も見かけたし。
 みんなお腹空いてるでしょ?せっかくだから店寄ってかない?」

喫茶版満漢全席を平らげた萌はともかく、南雲達は昼に軽食をとったっきりで何も口にしていない。
どうやら魔法少女になると、相応にカロリーも消費するらしく、南雲の胃袋は思い出したようにギャン鳴きを始めた。
理奈に至っては、胴から真っ二つになった以上、胃袋に何かが残っているはずもない。

「店には『何故か』全年齢層の女の子の服の替えが揃ってるし」

腹の底から声にならない『店長GJ』を叫びながら、南雲は提案した。

「どうせなら、このままお泊り会でも、しよっ!」


【店に寄っていくことを宣言。あわよくば泊まり込もうと目論む】

9:西呉真央 ◇yAQfcFtrvY
12/06/26 16:23:28.58 0
「ちゃんとお祈りをすれば神様が願いを叶えてくれる」
母にそう言われ、幼い私は一生懸命祈ったことを覚えている。
それからしばらくして、母はボランティア活動の為に、中東アジアへ向った
その時も私は一生懸命に母が無事に帰ってくることを祈った。
しかし、祈りは届かず、母はテロに巻き込まれ帰ってくることはなかった。
どうやら神は私の願いを叶える気は無いらしい。
幼かった私にはその事実を受け止めることが出来ず、
必死で何かの間違いだと自分に言い聞かせて、祈ることを続けた。
母のような犠牲者が出ないように「平和になれ」と祈った。
祈って祈って祈って…何年も何年も祈り続けたが…
神は私の願いを聞き届けず、この世界はあの日から何も変わってはくれなかった。

神が世界を変えないならいっそ自分で変えようと思えども
壁は高く、敵は多い…そして、それに立ち向かおうとする私には
それに抗うだけの力も、知恵も無い。
1人で立ち向かえないのならば、声を上げ、善意でもって世界を変えることは…
出来るわけが無い。先人達が平和になれと説いた教えでは世界は変わるどころか
それが争いの火種になる始末だ。
もうこの世界はやさしいやり方で変わることは不可能だ。
力が欲しい!狂った巨獣たちを屠り、この世界を裏で操る者たちを一掃するほどの力が欲しい
この世界を破壊し、作りなおせるほどの力が手に入るなら…
私は…

悪魔に魂を売ってもいい

10:西呉真央 ◇yAQfcFtrvY
12/06/26 16:24:15.54 0
〔とある街にて〕
「案外あっけなかったね」
すでに虫の息の魔法少女を目の前にして
三人組の魔法少女の内の1人がそう話す。
「まぁウチらにかかればチョロいもんでしょ」
それに答えるようにもう1人の魔法少女が応える。
この魔法少女達は三人一殺を地でいくタイプらしく
今まで戦ってきた魔法少女たちも皆、この三人のコンビネーションに敗れ去っていった。
「てかさ、さっさと魔術核奪ってさメシでも行かない?」
彼女達からしてみれば、ここまではいつもの狩りとなんら変わらなかった。
だが、しかし、今回ばかりは違った。
三人組の1人が魔術核を奪い取ろうと近づいた瞬間
死に体の魔法少女の腹が裂け、そこから勢いよく飛び出した触手が彼女を縛り上げ
捕食するように腹の裂け目へと引きずり込む
「…は、はなせよ!!!コノヤロー」
呆気にとられた魔法少女たちは、すぐに我に変えると飲み込まれそうになっている彼女を助けようと必死に足を引っ張る
だが、触手は確実にゆっくりと引きずり込む。
絶望的な状況で彼女らは、半狂乱しならが飲み込まれている友人を引っ張り続ける。
そして、突如、彼女たちは後方へ倒れこんだ。
恐らく何かの拍子で触手が手を滑らせたお陰で助け出すことが出来たのではないかと思った彼女たちは
すぐさま友人の安否を確認した。
「……うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
だが、そこには…何も無かった
あるべきところにあるはずのものが全て無くなっている肉片しかそこには無かった
「まずは1人」
1人しとめたのを確認すると、腹の傷も触手も気にせず立ち上がり、残る2人を見つめる。
「こ…この化け物がぁぁぁ」
怒りに身を任せ、もう1人の魔法少女が向っていく
向ってくる触覚を見事になぎ払い、彼女に切りかかろうとしたその瞬間
「2人目」
今度は触手のように伸び、切りかかった彼女の心臓、喉、頭を貫いていた。
「はぁぁぁぁぁぁぁ…」
最後の1人は恐怖で腰を抜かしてしまい、その光景をただ見ていることしか出来なかった。
「御自慢の連携プレーもこうなってしまえばお仕舞いですね」
恐怖で震える彼女を見ながらソレは微笑を浮かべてそう言った。
「しかし、あなた方には手こずりました。何せ二度ほど殺されかけましたしね
 身に覚えが無い?当然でしょう。こうやって擬態したんですから」
そういうとソレは先ほど全く別の魔法少女の姿へと擬態してみせた。
「あ…あ…」
それを少女は絶句した。
ソレが擬態した少女は確かにこの間、取り逃がした獲物で間違いは無かった。
「あんた…一体何者なんだ」
彼女の問いにソレは笑みを浮かべ、
「私は………あなたと同じ魔法少女ですよ」
ソレは自身の本性をさらけ出してそう答えた。
その姿は魔法少女にしてはあまりにも異形だった。
シルエットは魔法少女らしさはあるが、体表から服まで触手で構築され
人らしい輪郭が残っている顔には、獣のようにするどい六つ眼光が此方を睨む
一見すれば、それは魔法少女という生易しいものよりも、魔人、怪人などの人外に類される姿だ。
「…さて、言いたいことはそれだけですか?」

11:西呉真央 ◇yAQfcFtrvY
12/06/26 16:24:55.68 0
………

「ふぅ…」
血溜りに沈む生き残りを見下ろしながら、西呉は変身を解いた。
どこにでも居そうなただの学生に戻った彼女は、血溜りに沈んでいる少女が握り締めていた魔術核を奪い取ると
即座に自身の魔術核に吸収させた。
それを確認すると、彼女は胸ポケットから手帳を取り出し、狩り完了のチェックマークをつけた
「これでこの街の魔法少女もあらかた狩り尽くしましたかね」
手帳に記されていたこの街の魔法少女リストに全てチェックが付けられているのを確認すると
彼女は自分の荷物が置いてある宿泊施設へと足を進める。
手際よく荷物を纏め、次の街へ向うつもりでいるらしい。

12:萌 ◆Gw1TY5I6ic
12/06/26 16:26:26.07 0
>「……うん、そうだよね。わたし達は、魔法使いなんだから―わたしは、魔法少女になりたいんだから」
>「なれるよ……南雲さんならきっと、ううん……絶対なれる!!!」
南雲と理奈は萌の言葉を飲み下して内心を吐き出す。
もちろん激励の意味を込めて放った言葉ではあるものの、あまり素直に受け取られると気恥ずかしい。

ならノーリアクションだったらどうかという話だが、その場合は萌が素直にヘコむことと思われる。
女の子とはいつでもセルフィッシュなものだ。

>「ありがとね。……もう、大丈夫」
南雲の呟きに(少なくとも今は)と萌はいささか意地悪く心中で付け加えた。
いつだって、地平は広く道は狭い。

可能性は多く示されているように見えるが、実際に選択できるものは一握りもないのが常だ。
そしてその狭い道を連れ立って歩くというのは少々難しい。
共通するのは、誰しも逆には辿れないということだけだ。

今は並んで歩けている。多分、この先しばらくも。ではさらに先は―?
もちろん理奈は全力で"それ"を避けようとするだろう。南雲もそうだろうし、麻子もおそらく。
萌自身も可能であるならそうする。

しかし、もしも不可避であったとしたら。
その時は、ためらうことなく萌は牙をむくだろう。
縁も恩もある。だが、願いも命も譲るつもりはない。
なので―

>「わたしは―魔法少女の戦いに、喧嘩を売る。この残酷を強要するシステムを、ぶち壊す」
なので、こう南雲が宣言した時、萌は目からうろこが射出されたような気分になった。
道が狭いなら広げればいい。転げて笑い出したくなるくらいのシンプルさ。
(―ああ。それでいいんだね)

具体的な方策はなく、それが解決したとしても困難はつきまとうだろう。
だが、"キツくても気分が良い方に努力するべき"だと、萌はいつでもそう思っている。
進路は示された。あとは進むだけだ。

が、とりあえず今は歩みを止めなくてはいけない。
交差点。ここからはそれぞれ別の帰路をたどることになる。

13:萌 ◆Gw1TY5I6ic
12/06/26 16:27:52.97 0
眠ってしまった理奈をテンダーパーチへ連れて行くという麻子の申し出に、南雲は、
>「え……このままわたしの家に連れて帰って朝まで添い寝(いろんな意味で)する気まんまんだったんだけど!?」
対峙した敵が髪の毛で剣を操った時でもこれほどではなかろうというほど意外そうな反応を示した。
それからほんの一瞬、灼熱の眼光を麻子に注ぎ、次の一瞬で別の光がその目に宿る。

>「まあ、まあ、麻子ちゃんも疲れてるでしょ。小学生に小学生のお守り任せて帰るなんて坂上南雲の名が廃るわ!
>ここは高校生のおねーさんに任せておきなさい。店まで送ったげるよ―そうだ、」
そこでひとつ手を打った南雲は店の施設物資に関してとうとうとまくし立て、最後を以下のように結んだ。

>「どうせなら、このままお泊り会でも、しよっ!」
「……まあ、悪かないわね」
最高の笑顔で言い放った南雲の提案に、萌は少しだけ考える素振りを見せてから承諾を返す。

もちろん、南雲が垣間見せたゲスい顔はしっかりと目撃していたし、
そこからなにか邪な匂いも感じ取ってもいた。
目が死んでいるからといって眼力までもがそうだというわけではないのだ。
ならばなぜ、萌はこの話に乗るのか―

(寝床に潜り込んで隣で変身してやる)
そう、大変に可愛らしいイタズラ心のゆえである。
ついでに就寝中にも変身を維持してられるかどうかという実験にもなる。
(必要なシチュエーションが生まれうるかはまた別の話ではあるが)

それに、テンダーパーチのほうが自宅よりはだいぶ近く、
まして賄いまでつくとなれば是非に及ばずというものだ。
多少の魔力を無駄遣いしても収支は合うだろう。

「んじゃとっとと行こうよ。マコっちゃんの手料理楽しみだしー」
そう声をかけて、皆を促した。
麻子は"協力する"と言っただけで別に料理をするなどとは言っていないが、
往々にして口に出されたことは既成事実化するものだ。

歩き出す。分かれ道を皆で同じ方へ。
これからも、多分。

【じゃあ店へ行こう】

14:守本祝子 ◆BYQwSunNFIA4
12/06/27 00:23:07.37 0
守本祝子にはコンプレックスが3つある。

【1つ、字が汚い】
祝子は昔から「の」の字を「ゐ」、「り」の字を「い」と書く癖が染みついていた。
平仮名で「のりこ」と書こうとすれば自然と「ゐいこ」となる。これはまだ良い。
これを改善しようと努力した結果、小学校のテストの名前欄に「もりもと おに」と読めるまでに改善はした。
今の祝子のあだ名「鬼の守本」はここから由来している。
【1つ、目つきが悪い】
幼い頃園で遊んでいた時、ボールが目に当たり瞳孔散大を患ってしまった。
以来、眩しくても瞳孔を絞れないので自然と目付きが悪くなり、自然治癒した今でも目つきは治らず。
道を歩けば10人中12人は視線を逸らすほどのガン垂れっぷりとなった。
【1つ、背が高い】
家系的なものなのか、守本家の男共は背が高く、反対に女性は背が低い。
なのに祝子は一番身長の高い兄すら追い越し、めでたく今年で185cmを突破。全く嬉しくない。
因みに座高は91cmだ。だから何だという話だけども。
【けれどもそんな外見に合わず、祝子は暴力を嫌う大人しい少女に育った】
小学校の頃は男子とまともに口も利けず、兄弟げんかもせず、読書やアニメを見ることを趣味とした。
そうして18年間、口喧嘩ひとつせず平和に過ごしてきた結果……。


「おはようございやす姐さんッ!」
「姐さん聞きましたよ、東高のヘッドぶっ飛ばしたんでしょ?クーッ見たかったァー!」
「こないだ一緒に歩いてた背高い人誰っスか!?まさかヤのつく人とか?広島弁だったし」

…………………………………………………………………………………どうしてこうなった。


「どうしてこうなったァーーーーーーーっ!?」

ピンクのストライプ模様の枕に拳を沈め、今日も守本祝子(18)は吠える。
そして少女アニメのキャラクターぬいぐるみに占拠されたベッドにダイブし、足をばたつかせる。
何故だ、何故だと喚く祝子の外見は、ピンクで統一された可愛らしい自室に似つかわしくない立派な不良だ。
祝子はこの部屋に人を上げたことなど一度もない。見せられる訳がないのだ。だってヤンキーだもの。

「何でじゃ!ウチ何時から負け無しヤンキーになったん?ウチ喧嘩したこと一度も無いんじゃけど!?
 東高のヘッドとかウチ顔も見た事無いんじゃけど!?誰じゃ訳分からん嘘ついたの!ええ加減にしいや!
 アイツ等も姐さん姐さんて!恥いから呼ばんでって言っても聞かんし!つか一緒に歩いとったの兄貴じゃし!
 あーもうこれじゃけー引っ越すのヤだったんじゃ!まだ広島で一人暮らししとるのがマシじゃったわ!」

ベッドの上で喚く巨女。下の階から「祝子、煩い!」と母親が怒る。
仕方ないじゃないか、不満を言ったって。祝子はぷくーっと頬を膨らませた。
両親が離婚したのを機に、広島からこの街に引っ越してきて約半年。
転校初日から最強のヤンキーと恐れられ、自分の知らないところでみるみる伝説が打ち立てられ、気づけば立派な不良の仲間入り。
ふざけるなと。こちとらビンタ1つすら浴びせたことがないチキンだというのに。
地元では背がデカいだけの祝子を怖がる人なんて誰一人としていなかった。からかいの対象にすらなったくらいだ。

15:守本祝子 ◆BYQwSunNFIA4
12/06/27 00:24:03.00 0
だがそれでもまだマシな方だった。
憧れの先輩に「背が高い女の人はないわー」とこっぴどく振られても、慰めてくれる友達がいた。
この街にはそんな人すらいない。皆目を合わせようとせず、勘違いした不良達が擦り寄って来るだけ。
しかも自分が不良でないとバレれば即刻ぼっちコースは確実。不良になりきる日々にも限界が近づきつつあった。

「それもこれも全部、背が高いせいじゃ……」

ボソリと祝子はぼやいた。背が低ければ不良に間違われることもなかったのに。
広島弁を使っても妹のように「やだーこわーい」と笑われるだけで済んだのに。
男モノの服なんか着ずに可愛い洋服だって着れるのに。先輩と両想いになれたかもしれないのに。
昔見た魔法少女のアニメで、舐めると幼くなる飴というものがあった。あんな飴が本当にあればよかったのに。
昔欲しかった魔法少女のコスプレ衣装のサイズが合わず、泣く泣く手放したこともあった。

「……背、低くなりたいなァ……」


「なれるぜ。魔法少女になれば」

どこからともなく声が降ってきた。枕にうずめた顔をバッと上げて、声の元を探す。だが見つからない。
不良になりきる毎日に神経をすり減らし遂には幻聴まで……本格的にヤバイかもしれない。

「こっちだよ、こっち。上上」

見上げればそこに、女が居た。
ヤモリよろしく天井にへばりついて白い歯を見せつける、黒マントの可笑しな女。
女は音もなくふわりと舞い降りて、その存在が幻でないことを証明するように祝子の手を取った。

「お前の願い、叶えてやるよ。アタシと契約して、魔法少女になってくれるならね」


【 ブラック魔法少女 守本祝子編 開幕 】


「…………………………………なーンか、実感沸かんねェ」

ベッドの上で、祝子はしげしげと黒マントの女を眺めた。
女は祝子と契約し魔法少女にすべく現れた悪魔・『闇のセールスマン』だと名乗った。正直胡散臭い。
けれども認めざるを得ないらしい。どんなに祝子が喚いても教えても、家族は悪魔の存在に気付けなかったのだから。
人ならざる何かであることは確かだ。突然天井に貼りついて現れるような女なのだし。

「アタシが悪魔だってことが?自分が魔法少女になるってことが?それとも背が小さくなるってことが?」
「全部。……ホンマに背ェちっさくなれるんじゃろね。嘘じゃったら承知せんよ」
「隠し事はしても嘘はつかねぇよ。それよりそっちこそ、そんなチャチい願いでいいわけ?背が低くなりたいって…」
「ウチにとっちゃ死活問題なんじゃ。こんな未曾有のチャンス逃して、いつ背をちっさくするんよ」
「その為だけに殺し合いをするとしても?」

祝子は無言で肩を竦めた。
願いが叶うなら叶えたい。今まで祝子を悩ませてきたのはその身長なのだ。
周りからみれば下らない願いかもしれない。我慢すればいいだけの問題かもしれない。
けれども、……欲しい物を諦め続ける日々なんて、我慢しなければいけないのだろうか。
目つきが悪いのも、口調も、字が汚いのも、努力でどうにかなる。けれども身長はそうはいかない。
今この願いを叶えなきゃ、この先叶えていきたい願いも叶わなくなる。今しか変われる時はないのだ。

16:守本祝子 ◆BYQwSunNFIA4
12/06/27 00:25:10.37 0
「ま、アタシがとやかく言うことじゃないか。本当に叶えたい願いなんて人それぞれだしよ」
「…………なんか、ごめん」
「何で謝るのさ。まだ悪いことした訳でもないのに。……そんじゃ、ハイコレ」

女は祝子の眼前にそれを―『魔法核』をちらつかせる。祝子は思わずそれに魅入った。
これに願いを注入すれば、契約成立となり魔法少女となる。祝子の願いを叶える第一歩が、始まる。

「引き返すなら、今の内だぜ?ノリコ」

今更になって心に揺さぶりをかけるような悪魔の声を、初めて鬱陶しく思った。
祝子は返事の代わりに挑発的な笑みを浮かべて魔法核を握りしめた。
その瞬間、不思議な温もりが掌で炸裂し、迸るような閃光が彼女を包んだ――――


「おおーっ……本当に魔法少女っぽいですね」
「変身する時はその手鏡を使いな。魔法少女としてのお前は鏡が必要不可欠となる。それはアタシからのプレゼントさ」

ピンク色のコンパクトミラーの向こうには、祝子に瓜二つな長い金髪と緑眼の少女が居た。
身長は以前変わらず、中世の魔女を彷彿とさせるような露出度高めのコスチューム(フリル多め)。
頭に乗っかった黒い三角帽をちょいと直し、片足を上げて姿鏡の前でポージング。…………悪くない。

「失くすなよォー。それアタシのなんだから」
「はいっ!肝に銘じておきますですっ!」
「…………なんか、性格変わった?」
「そうですか?自分じゃよく分からないです……」
(いや結構変わったと思うぞ…)

手鏡を閉じると、姿も元に戻った。時間を確認するともう夜も遅い。

「そろそろ寝にゃ。ウチ明日からカフェのバイトじゃけん」
「え、お前バイトなんかしてるの。受験生の癖に」
「大学行かんよ。その代わり専門学校行くけん金貯めんにゃいけんのよ」
「ふーん……因みに何の専門学校よ?」
「調理師専門学校。爺ちゃんの居酒屋乗っ取ってケーキ屋開くんじゃ」
「お前その見た目でそんな野望抱えてたの!?似合わなッ!!」

―この日、祝子は人生で初めて人(悪魔?)の脳天に鉄拳を食らわせたという。

「明日はバイトの後でええけん、色々教えてね。おやすみー」
「(痛い……)ああうん、おやすみ……ってあれ?アタシここに泊るの確定?」

こうして、魔法少女・守本祝子は静かに誕生した。彼女がこの先どんな未来を迎えるのか―今の祝子には知る由もない。

【導入完了。時間軸としては魔法少女たちの戦い終了後辺り?翌日テンダーパーチに押しかける予定】


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