13/12/02 21:53:36.45 rsPK2uig
>>628
公式サイトから抜粋
(前略)
私は、物語自体を脚色するのではなく、この奇妙な物語を成り立たせるための前提として冒頭に置くべきプロローグ、すなわ
ち、月世界を出発するかぐや姫と父王との会話シーンを書いたのです。
原作の『竹取物語』で、かぐや姫は、月に帰らなければならなくなったことを翁に打ち明けたとき、「私は“昔の契り”によっ
て、この地にやってきたのです」と語ります。そして迎えに来た月の使者は、「かぐや姫は、罪を犯されたので、この地に下ろし、お前のような賤しい
もののところに、しばらくの間おいてやったのだ。その罪の償いの期限が終わったので、こうして迎えにきた」と翁に言います。
いったい、かぐや姫が月で犯した罪とはどんな罪で、“昔の契り”、すなわち「月世界での約束事」とは、いかなるものだった
のか。そしてこの地に下ろされたのがその罰ならば、それがなぜ解けたのか。なぜそれをかぐや姫は喜ばないのか。そもそも
清浄無垢なはずの月世界で、いかなる罪がありうるのか。要するに、かぐや姫はいったいなぜ、何のためにこの地上にやって来たのか。
これらの謎が解ければ、原作を読むかぎりでは不可解としか思えないかぐや姫の心の変化が一挙に納得できるものとなる。そ
してその糸口はつかめた! とそのとき私の心は躍ったのですが、半世紀を経て今回取り上げるまで、この“昔の契り”コンセプトは、長年埃をかぶったままでした。
私にはいまも、月での父王とかぐや姫のシーンがありありと見えています。父王は姫の罪と罰について重大なことを語り聞か
せています。かぐや姫はうわの空で、父王の言葉も耳に入らず、目を輝かせながら、これから下ろされる地球に見入るばかりです......。
しかし、私はこのシーンを冒頭につけることはしませんでした。『竹取物語』には描かれていない「かぐや姫のほんとうの
物語」を探り当てさえすれば、プロローグなどなくていい。物語の基本の筋書きはまったく変えないまま、笑いも涙もある面白い映画に仕立てられる。そし
てかぐや姫を、感情移入さえ可能な人物として、人の心に残すことができるはずだ。私はそんな大それた野心を抱いて、『か
ぐや姫の物語』に取りかかりました。
(後略)