08/10/02 08:03:15 UeHjP.bs
早速限界灘に行ってきた。近隣のくの付く店には及ばない
が備の付く店よりはおいしくいただけた。値段が限界なら
素材も限界らしくそれなりの味なのだが、アルコールが回
った後ならこのくらいでいいだろう。特筆すべきは店の雰
囲気だ。ざわざわした呑ン兵衛達のひとりとしてその騒が
しさに浸りながらゆっくり呑むのは良いものである。子供
の頃に家族みんなで囲んだコタツでひとり本に熱中してい
た、あの頃の感じを思い出した。孤独じゃないのに孤独で、
孤独なのに孤独じゃない・・・そう思わせるのはこの狭い
店にいる人と人との絶妙な距離のせいだろう。酒は、とく
に焼酎は、そしてとくに湯割は、狭いところで呑むに限る。
酔うほどに朦朧となり研ぎ澄まされていく感性。汚い床も、
煤けた壁も、なぜだか何十年来の馴染みのように思えてく
る。そして周囲の酔客も、かつて家族であったかのような、
なにか赤の他人とは思えないようになってくるのだ。うつ
むく顔の皺で語る初老の男。隣人に伝えたいことが言葉に
入りきらない女。すべての酔っ払いは詩人かも知れない・・
・そんなことを考えていたら、乗るべき電車が来た。店か
ら秋の夜長へ踏み出したとき、肌寒さが嬉しかった。なぜ
なら、ほんの少しでも強く、限界灘の心地よきぬくもりを
印象に残したかったから。この店は、長文を書きたくなる。