11/01/30 23:42:47 0
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「ね、言ったとおりでしょ?」
結果に満足して笑い、一層深くケーブルに抱きつく。
陽気なネイシャンに対して、ケーブルのほうは真面目に危機感を覚えていた。
全力ではないとはいえ、自分のサイキックパワーを完全に防がれたのだから無理もない。
加えて今度は引きはがせないように巻かれた手足は彼女のモノと思われるパワーで固められている。
しかもそのパワーの質が、自分に―ひいてはサマーズ家特有のそれと、そっくりなのだ。
「どういうことだ!? ああ違う……お前はなんだ? 親父がコッソリこさえてた子か!?
それともX-MANみたいな別世界の俺か!?」
あえてアポカリプスの、とは言わなかった。抱きつかれてからわかったが、
彼女はどうもそんな類ではない気がするのだ。向けられる感情に悪意のかけらも感じられない。
「まさか―……」
ケーブルの頭の中で、突然、歯車が噛み合った。
ネイシャンが現れて、箱を開く前に感じた感覚が型にはまった。形になったのだ。
そしてそれは、ケーブルの何重にも覆い隠された心中から懐かしさと喜びをたやすく引き上げた。
わけもわからず湧き出た感情に引っ張られて、涙が出そうになった。
親類、肉親に対する純粋な愛情を、同一人物のX-MANのような感じではなく、
サイクロップスとジーン・グレイに対する時に無意識に出てくる尊敬と愛情を、今確かに感じている。