11/03/19 20:24:11.90 RKDtTUJ60
G'sより
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路地の片隅にエリスの姿があった。
「エリス」
エリスがうつむいていた顔を上げる。
月を隠していた雲が一瞬で吹き消えるように、エリスの顔に安堵の色が浮かぶ。
「あ…」
そして、ぱたぱたとこちらへ駆けてきた。
まるで主人を待っていた犬っころのようだ。
そのと、私は深淵に突き落とされた気分だった。
何も見えず、何も聞こえず、鉛のように重鈍な闇が、穴という穴から入り込んで狂奔する。
体が馬鹿みたいに震えだし、小指の先も動かせない。
五感を失った頭が、漆黒に塗りつぶされていく。
ああ、私はこうして解体されていくのだ。