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首相のトップダウン手法 自民党内の不満が謀反に向かうか
2017.05.31 16:00
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前川喜平・前文部科学事務次官は、いわゆる“加計疑惑”における記者会見で加計学園の獣医学部の新設問題で首相の意向が働いたのではないかという件に関し「総理のご意向」文書を本物と認めた。この文書は文科省中枢でやり取りされたとされる文書であり、5月17日の朝日新聞で報じられた。そしてその5日後、5月22日に前川氏は読売新聞から「前川前次官 出会い系バー通い」の見出しで報じられた。
前川氏の実名証言が飛び出した直後は、野党が国会招致を求め、与党が拒否する構図になったが、国家戦略特区担当の地方創生相を務めた石破茂氏は「行政の公平性という観点からおかしい」と批判の声をあげている。自民党内が一枚岩でないとなれば、話は変わってくる。
官邸もさすがに加計疑惑は形勢危うしと見ているようだ。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。
「安倍首相が突然、憲法9条改正をぶち上げた背景には、森友から加計と続く疑惑の連鎖から国民の目を反らそうという狙いがうかがえる。だが、こちらも安倍首相は9条2項の戦力不所持を廃止しないで3項に自衛隊を追加する案を読売紙上で表明し、党の方針を独断で変えたことに批判が強い。
自民党議員たちから見ると、森友疑惑も加計疑惑も安倍首相のオウンゴールで党全体が批判を浴びている。そんな中、本人だけが安倍一強と思い込んで何でもトップダウンで党に方針を押し付けるやり方を続ければ、党内の不満はいずれ謀叛に向かうのではないか」
安倍首相は自民党憲法改正推進本部に年内に改正原案をまとめるよう指示したが、改憲問題でも動向が注目されているのは石破氏だ。
「国民に『これが改正草案です』と示して、国政選挙を4回やっている。議論を変えていくやり方は正しいと思わない」
そう語って首相が打ち出した改憲案を真っ向から否定している。安倍一強体制に亀裂をもたらす“乱”の火の手は、2つのK(加計、改憲)から上がり始めた。