17/05/22 13:37:00.90CAP_USER9.net
自民党の石破茂前地方創生担当相(60)が憲法改正をめぐり、安倍晋三首相(自民党総裁)との対決姿勢を強めている。
国防軍の保持を明記した平成24年の党憲法改正草案にこだわらず自衛隊を位置づけ、2020(平成32)年の改正憲法施行を目指すという首相を「敗北主義」と痛烈に批判。
「妥協していいとは思わない」と一歩も引かない構えだ。
党執行部は、首相が指示した党改憲原案の取りまとめに向けて議論を加速させる方針だが、独り正論を吐く石破氏は「ポスト安倍」の一人とされるだけに、
党内政局を巻き起こす“台風の目”になれるか。
「独立国家にふさわしい憲法をつくるというのが自民党結党の原点だ。ここの議論を粗略にして、憲法改正ができるなんて私は全く思っていない」
石破氏は5月11日、会長を務める石破派(水月会)の会合で、首相が意欲を示す9条への自衛隊明記を念頭に、性急な議論にくぎを刺した。
自民党は結党時の昭和30年、「現行憲法の自主的改正」を掲げ、平成17年と22年に公表した各綱領にも新憲法の制定を明記している。
さらに野党時代だった24年には、当時の谷垣禎一総裁のもとで党改憲草案を策定した。
その起草委員会のメンバーとして、9条改正構想に関わったのが石破氏だった。
現行憲法は日本が連合国軍総司令部(GHQ)の占領下にあり、独立国家ではなかった戦後間もない時期につくられた。
そのため、戦力不保持と交戦権否認を定めた9条2項を改めるとともに、「日本国民は(中略)平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した」という“他力本願”の前文も一新する必要がある-。
石破氏のこうした持論を反映し、自民党の改憲草案は9条2項で戦力の不保持などを削除して自衛権を明記したほか、
9条の2を新たに設け「内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する」とした。
「バリバリの9条改正派」を自任する石破氏にとって、党改憲草案での9条の書きぶりには思い入れが強い。
それだけに9条1項と2項を維持したまま自衛隊を明文化するという首相の意向には「(戦力不保持と実力組織である自衛隊との間の)矛盾が解消されない」と指摘。
そして、真っ向からこう異論を唱える。
「『(党改憲草案に)こだわらない』と一言で言われても、今まで自民党がやってきたことは何だったのかとなる。草案をもう一度検証することが大事だ」
しかし、首相が他党との合意点を見据えて9条維持と自衛隊の明記にかじを切ったことで、党内で石破氏は浮いた存在になっている。
石破氏の主張に賛同する議員は今のところ出てきていないし、党執行部も首相の指示を受け、年内に憲法9条などの改正原案をまとめるべく、
党憲法改正推進本部の態勢を拡充した上で、6月から党内議論を本格化させる方針だ。
「私に限らず、総裁選に名乗りを上げる者は、憲法9条の改正問題を絶対避けて通ってはいけない。
自民党は何のためにできた党なのかという、結党の原点に立ち返るべきだ」
石破氏は5月15日のテレビ朝日番組でこう訴え、来年秋の総裁選で9条改正を争点に掲げる考えを打ち出した。
「来年の通常国会に案を出せればベスト」(下村博文幹事長代行)との声もある中で、石破氏は総裁選の時期まで改憲論議を引っ張りたいところだ。
9条に限って言えば、連立相手の公明党は「国防軍」を明記した自民党改憲草案に対する忌避感が強い。
9条の規定を維持して自衛隊を明文化するという5月3日の首相のメッセージは、公明党へのアピールでもあったといえる。
妥協せず、党改憲草案を尊重して憲法改正を実現するという石破氏の主張が正論であることは間違いないだろう。
ただ、結果を重視する首相に対抗するには、9条だけではない自らの憲法改正構想を明らかにし、自民党内はもちろん他党の理解や協力を得ることが不可欠だ。
総裁選に向けて石破派(20人)の勢力拡張も必須となる。石破氏の「妥協しない」姿勢は吉と出るのか、それとも…。
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