17/02/10 22:41:30.34 CAP_USER9.net
犯罪行為がなくても意思の段階で犯罪とする共謀罪。その問題点について、戦前の弾圧法・治安維持法に詳しい内田博文・神戸学院大学教授に聞きました。(聞き手・安川崇)
―共謀罪はよく「現代の治安維持法」と例えられます。共通点は。
治安維持法の対象は「国体変革結社」や「私有財産制否認結社」ですが、その内容があいまいでした。結果、度重なる法改定と裁判所の逸脱適用で、取り締まり対象は幾何級数的に拡大しました。
今度の共謀罪について政府は「組織的犯罪集団」だけが対象だと言いますが、実は何の限定にもなりません。
刑法の犯罪は(1)人の行為が(2)明記された構成要件に該当し(3)有害な結果が発生し(4)当人に責任がある―時に成立します。基本原則です。
しかし共謀罪や治安維持法はもっと前の段階で、行為も結果もないものを処罰する。基本原則がすべて外れている。そういうものを犯罪にすると言っていて、その犯罪集団というわけですから、「団体」の定義の中身が何もない。客観的な犯罪ではなくて、取り締まり当局が犯罪だと思ったものが犯罪になるというだけの話です。
共謀罪法案は組織犯罪処罰法の改定案ですが、同法の今の運用実態が参考になります。
例えばある会社が預託金を集めて、赤字になっても募集を続けていると組織的詐欺として処罰されます。これが中心的な運用です。合法な会社や団体でも、行為の時点で「組織犯罪」とされる。この実態があるのに、共謀罪だけ違う対応をすることはありえないでしょう。
普通の人に拡大適用も
治安維持法の制定時も、政府が帝国議会で同じような説明をしています。「全く乱用しません、共産党だけが対象です」と。それ自体問題がありますが、現実には党関係者からその外郭団体へ、さらに自由主義者や反戦主義者、新興宗教関係者へと対象を広げ、「普通の人たちの普段の生活」を取り締まりました。
裁判所が権力チェック機能を果たしていないのもポイントです。
当時も政府は「裁判所が厳格に適用して乱用を防ぐ」と言いました。戦後の裁判所も、沖縄問題を見れば政府言いなりの判決ばかり。その裁判所が共謀罪の厳格な適用を担えるか。難しいでしょう。
もう一つの治安維持法の教訓は、投獄され出所した人や家族が社会でどう扱われたか。「あいつらはアカだ」とバッシングを受け続けた。それもあって「治安維持法は特別な人たちを狙ったものだった」というイメージがいまだに残ります。
共謀罪も「テロリストを狙いますよ」とプロパガンダされている。すると多くの人が「私とは関係ないことだ」と勝手に誤解して、拡大適用されてもほとんどの人が気づかない事態があり得ます。「皆さん自身も対象になるんですよ」ということを理解してもらう必要があります。
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