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非保有国間、溝あらわ…報告書、国連部会採択
毎日新聞:2016年8月21日 13時53分
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(依頼985)
【ジュネーブ福島良典】「核なき世界」の実現に向け、核兵器禁止条約の交渉を来年中に開始するよう国連総会に勧告した国連作業部会の報告書が19日、採択され、初の禁止条約制定に向けた取り組みが始動した。
だが、報告書の採択は全会一致ではなく、核軍縮の進め方を巡る国際社会の分裂が改めて浮き彫りになった。
次の焦点は秋の国連総会での各国の対応に移るが、条約作りへの環境整備が順調に進むかは不明だ。
作業部会は19日夕、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で閉会日を迎え、タニ議長(タイ)が「賛成68、反対22、棄権13で報告書は採択」と宣言すると、禁止条約推進派の各国代表から拍手が起きた。
非政府組織(NGO)も「核廃絶を目指す約70年間の闘いにおける転換点」と歓迎した。
日本など「尚早」
報告書の最終案には主な陣営のそれぞれの主張が盛り込まれ、「合意に非常に近い場面があった」(外務省筋)。
全会一致での合意採択を目指したが、オーストラリアが北大西洋条約機構(NATO)加盟国や韓国など14カ国を代表して反対を表明し、投票を要請。
日本は「投票による採択は、核軍縮を巡る国際社会の分断を一層進めることになりかねない」(外務省筋)との判断から棄権にまわった。
スイスやスウェーデンなどが同調した。
推進派のメキシコのロモナコ大使は「投票になったのは残念だが、報告書の重みが減じることはない」と記者団に語った。
報告書は「作業部会は広範な支持を得て、国連総会が法的拘束力のある核兵器禁止文書の交渉会議を2017年に開催するよう勧告した」と明記しており、秋の国連総会に提出される。
作業部会では、条約賛成派の一部から、報告書の内容を反映した総会決議を求める声が上がっており、オーストリアなどの積極推進派の国々が総会での共同提案の用意を示している。
一方で報告書には、日欧などの国々が勧告に「同意しなかった」ことも記録された。
こうした国々は米国の「核の傘」に依存する立場から、交渉入りを「時期尚早」としており、核拡散防止条約(NPT)など現行の枠組み重視の核軍縮を主張している。
秋の総会焦点
禁止条約の制定を目指す動きは、非核保有国のうち、「核の傘」に入っていない国々が主導している。
次の交渉の舞台は、軍縮問題を取り扱う国連総会第1委員会となるが、作業部会での対立構図が変わる見通しはない。
加えて、オーストラリアなどが強硬姿勢を取ったことで、非核保有国間でもさらに溝が深まった。
さらに総会では、作業部会に参加しなかった米露英仏中やインド、パキスタンなどの核保有国が交渉開始の動きにブレーキをかける事態も想定される。
唯一の被爆国として、核保有国と非核保有国との「橋渡し役」を自任する日本だが、総会ではより困難なかじ取りを迫られることになる。