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都知事選出馬の増田寛也氏、岩手県知事時代に「自殺率急増」データ
NEWS FILE (著者 渡瀬 裕哉)
PRESIDENT:2016年7月27日(水)
(2016年8月15日号)
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特に目立つのは現役世代の自殺
岩手県知事時代の「実務能力」を買われて東京都知事選挙の自民党公認を得たはずの増田寛也氏だが、県政の実務能力について多くの疑問が噴出し、増田陣営は火消しに躍起となっている。
果たして、増田氏の実務能力は本当に高いと言えるのだろうか。
私は、ある指標に着目した。
それは「自殺率」である。
自殺はいうまでもなく個人の心理に根ざす個人の行為である。
ただし、その原因や背景には、経済的困窮、社会文化的な要因が深く影を落としている。
不況になると増えることでも知られており、そのコミュニティが健全に運営されているかを示す、重要な指標と言えるだろう。
今回、自殺率の推移を精査したところ、増田県政下(1995年度から2006年度)の12年間において、自殺率が急増していることがわかった。
当時、不況の影響で全国的に自殺率は上がっていたが、全国平均との差は大きい。
増田県政は自殺対策について有効な手段を講じることができなかったのだ。
いっぽう、増田県政を引き継いだ達増拓也岩手県知事の県政下(07年から現在)では、全国平均との差は増田県政時代と比較して急激に減少している。
自殺対策における行政手腕の優劣は明らかだ。
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増田県政初期は、巨額の公共事業を繰り返すことで、在任期間中に借金(臨財債含む)を約2倍の1兆2000億円にまで膨れ上がらせた。
増田氏は総務大臣時代に参議院予算委員会にて、田中康夫氏に岩手県の借金が積み上がった原因を問われ、「公共事業の量的拡大によって県の借金が拡大したものの、その後に地域経済がうまくいかなかったこと」と、その原因を愚直に吐露している。
自らがつくった財政難に苦しんだ増田県政は大幅な行政改革を断行する羽目に陥った。
しかし、公共工事依存の県政からの無計画な転換は、建設業が経済を支える岩手県の雇用に深刻な打撃を与えた。
そのため、建設業の新規分野への進出・労働者の職業訓練などの支援が行われたが、十分な成果は上がらなかった。
増田氏が主張するプライマリーバランスの黒字化は県民の犠牲の上に成り立ったものだ。
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一方、増田県政3期目と被る03年度から07年度の岩手県内での年齢階級別死亡数を見ると、60代以上の高齢自殺者数よりも40~50代までの現役世代の自殺者数が大勢を占めていたことがわかる。
04年9月に議会で行われた県内の自殺状況に関する議員の質疑に対し、増田氏は岩手県の自殺の特徴として
「働き盛りの自殺割合が多いこと」
「経済・生活問題が深刻化していること」を認めている。
増田氏はメンタルケアの重要性も同時に主張したが、05年12月の議会では別の議員から
「自殺の原因はメンタルケアの良しあしではなく、深刻な雇用状況・産業全体の低迷にあることは明らか」と厳しい追及を受けている。
東京都知事選挙公示日前の共同記者会見で増田氏は記者に岩手県知事時代のファーストクラスの利用を認めたが、問題はないと主張した。
その後、同選挙期間中に「ファーストクラス利用は適正なルールに基づいていた」という趣旨の文章も発表している。
しかし、実際には01年の12月議会で自民党議員から「不況の時代にファーストクラスに乗るのは来年度からやめてほしい」と懇願されたものの、それに対して増田氏は直接答弁せず、人事課長の「現行の制度で運用してまいりたい」という官僚答弁で冷酷に切り捨てた。
その後、朝日新聞(09年12月22日)では税金でファーストクラスを使う外務省やJICAの職員を批判している。
増田氏は責任を取って退職金を返上するように議場で迫られたが、通算3回目の巨額の退職金を受け取り、後任者である達増知事に問題を丸投げして県庁を去った。
なぜ、この人が「出たい人より出したい人」なのか。
石原伸晃自民党都連会長は、都民に明確な理由の説明を行うべきだ。
本稿で指摘した事実に関し、増田事務所に質問をしたが、期限までに回答はなかった。