16/06/05 14:33:01.25 CAP_USER9.net
パナマ文書によって、グローバル企業の租税回避に対する風当たりがいよいよ強くなってきていますね。
これについては、日本で企業活動を行っているグローバル企業がちゃんと日本に税金を落としていってくれているのかという点が、僕たち日本人にとっては特に気になるところです。
身近にある海外企業としてはアマゾンなんかがパッと頭に浮かびますが、実はこのアマゾン、日本にちゃんと税金を払っていないということで、国税当局から約140億円の追徴課税を受けたという過去があります。
今回は、このアマゾンの問題について振り返っていきたいと思います。
■アマゾンが日本で税金を払わない仕組み
僕たちがアマゾンから商品を購入すると、その代金はアマゾンの売上になります。
そして、その売上からさまざまな経費が引かれた差分が利益となり、この利益に税金がかかってくるわけです。
一般的な感覚では、日本のアマゾン(Amazon.co.jp)から商品を買った場合、これを運営しているアマゾンの日本法人に売上が計上される気がすると思います。
ですが実際には、この売上の多くは日本では計上されておらず、アメリカで計上される形になっているんです。
この仕組みを単純化して書いたものが下の図です。
URLリンク(amd.c.yimg.jp)
この図にある通り、僕たち消費者がアマゾンを使って商品を購入した場合、
法形式上は日本法人とではなく、アメリカにあるアマゾン本社と取引をしていることになっているんです。
日本法人については、あくまでも本社に対して販売や物流などのサポート業務を提供しているにすぎません。
こうなると、日本法人の売上は広告関係や、アマゾンに出品した人から受け取る販売手数料などに限られ、かなり少なくなってしまいます。
ちなみに、2016年3月日付で官報に掲載された2014年度決算公告によると、日本法人における売上高は約90億円(※)です。
一方で、アマゾン全体の2014年度年次報告書によれば、日本事業の売上高は日本円に換算して約8,300億円です。
アマゾンの日本事業のほとんどが、日本の税金にはつながっていっていないことが分かると思います。
(※)アマゾンジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクスの合計。なお、2016年5月1日に両社は合併しています。
■国家間における税金獲得争いの側面も
こういった状況を踏まえて、2009年に日本の国税当局はアマゾンに対して約140億円の追徴課税を行ったことがありました。
「日本事業に対する税金を払ってないよね?」ということです。
これに対してのアマゾンの回答は「日本事業に対する税金はアメリカに対して払っている。
どちらに払えばいいのか、日米の当局間で協議して決めてください」というものでした。
アマゾンの税金問題は、アメリカと日本の国税当局同士での争いになっていきます。
そしてそこでの協議の結果、日本側の主張は認められず、追徴課税は取り消されることになりました。
アメリカと争っても勝てる気がしないので、当然といえば当然の結果かもしれませんね。
ちなみに、具体的な争点になっていたのは、日本に恒久的施設があったかどうかというところ。
租税条約上、恒久的施設がないのであれば課税することができないからです。
日本にある倉庫が恒久的施設にあたるかどうかというところで争われたわけですが、結局これが認められなかったということです。
パナマ文書は国家対グローバル企業という構図なんですが、このアマゾンのケースに関しては国家対国家という構図だったように思います。いかにして自国の税金を確保するかという戦いですね。
■今後の展開について
こうしたネットを使った国際通販について、OECDは先述の倉庫についても恒久的施設に含める方向で見直していくようです。
なので、アマゾンの税金問題については、ゆくゆくは解決していく可能性が高いように思います。
ただ、インターネットが始まって以来、新たなビジネスの形態がどんどん生まれてきており、これからも想定していないケースが数多く出てくるはずです。
アマゾン問題を解決したとしても、新たなアマゾン問題は次々と起こってくることでしょう。
これからも国家間の税金をめぐる争いが出てくることは避けられないと思われるので、先手を打ったスマートな対応を期待したいところですね。
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)