14/02/01 10:29:21.56 YgYXCzF/
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「…格好悪いとこ、見せちゃったね」
泣き止んだ後、照れくさそうに笑う未来。
結局、少女が泣き止むのには、雨があがるまでの時間がかかった。
「せやな」
日影は否定しない。
悪忍である以上、殺し殺されの世界に身を置く以上、人を殺す覚悟を持ってなかったのは未来の不手際だ。
だが―それが何だというのだ。未来には自分たち仲間がいる。足りない部分は支えあえばいいだけのことだ。
「ほな。そろそろ帰ろか。詠さん怒っとるかもしれん」
ケロリとした様子で踵を返す日影。
未来は、その背中を見つめて、呟く。
「……日影は、強いね」
数多くの命を背負いながら、その重圧を微塵も顔に出さず、戦い続ける日影。
今日、人を殺すことの意味を知った未来には、その背中は少し違って見えた。
そんな少女の視線を受け止めながら、日影は常の様子で軽く応えた。
「ワシには、感情っちゅうもんがないからな」
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終