11/07/31 01:05:49.00
これは神戸市の宮崎市長が当時の運輸大臣に再提出した関空神戸沖案です。
昭和57年6月4日 新空港計画試案
神戸沖に空港を建設する基本的考え方
関西における空港需要の急激な増大と、大阪国際空港の現状にかんがみ、公害のない利便性の高い新空港の早期実現をはかる
とともに、神戸港を航空貨物を含め関西における物流基地とすべく、以下新空港の建設について、神戸市の基本的な考え方を述べる。
(1) 大阪国際空港との調和
大阪国際空港の存廃問題に関しては、大阪モノレールの建設にかかる経緯等からしてむしろ現空港を存続させる方向にあるといえる。
しかしながら、現空港が関西の今後の航空需要に対応することは条件的に不可能な現状にあるといえるし、また現空港の環境問題
を早期に解決するためにも、併用の条件が十二分に満たされる新空港を早期に建設する必要がある。
すなわち、神戸沖に建設する新空港は現空港とは至近の距離にあり、航空需要発生地に近く、新空港へのアクセスは既存の交通施設
が充実しており、国際・国内いずれの旅客にとっても利便性が高い。
また、両空港の位置的関係から旅客需要に対応する両空港の機能分担については、相互補完の弾力的運用が比較的容易である。
(2) 低廉な空港建設
新空港が機能するには、空港本体に加えて十分な関連公共投資が必要である。
しかしながら、現下の深刻な国家財政の状況のもとでは、可能なかぎり低廉な空港の建設が必要である。
すなわち、神戸沖に建設する空港は横風用滑走路が不要であるのみならず、空港へのアクセスは既存の高速道路や新幹線をはじめ
とする鉄道・新交通システム等によってほとんど可能であり、関連都市機能については、既設の各種施設が利用できるとともに、必
要とする新たな施設の立地には、六甲アイランド等の用地が活用できる。
(3) 国際港湾機能の活用
近年のわが国における急速な産業構造の高度化と国内貨物の流通並びに海外貿易の促進にともなう航空貨物需要の増大にはめざま
しいものがある。
従って、国際的情報流通機能としての空港の建設が急がれるが、神戸港が国際港湾として蓄積した通関・出入国管理・検疫等の
諸機能を、空港が機能する上で活用すべきである。
すなわち、空港と港湾は機能を分担し、相互に補完しながら一体的、効率的に運用することがきわめて効果的である。
(4) 地元主導による空港の建設
逼迫した国家財政の状況下にあって、しかも関西において新空港を早期に実現させるためには、事業費の捻出や事業主体のあり方
について過去の経緯にとらわれない発想の転換が必要である。
すなわち、空港の建設と運用にあっては地方公共団体ならびに民間の英知と活力を生かし、地域と一体となった地方自治体空港
又は第三セクター方式の空港によって多角的な経営を行うことが考えられる。
神戸沖に建設する空港にはこの方式を採用したい。
その際、ポートアイランド、六甲アイランド等の海面埋立てと内陸部土取跡地の一体的開発の手法や、外債を含む資金調達・
運用の手法など、神戸市の都市経営の手法と経験を新空港の建設に役立てたい。
(5) 法制化と財政的支援
この計画を実現するに当たって、事業主体は当面国家財政への依存を期待しない方式で考えたい。
しかしながら、巨額の財政支出を円滑に執行するためには、国において特別立法等の措置が不可欠であり、また将来においては一部
の事業に制度化されている無利息融資、又は財政投融資による低金利融資の手段が講ぜられることを願いたい。
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こ の 計 画 を 実 現 す る に 当 た っ て 、
事 業 主 体 は 当 面 国 家 財 政 へ の 依 存 を 期 待 し な い 方 式 で 考 え た い 。
国ではなく神戸市主体でやりますという神戸沖案より、泉州沖案をなぜ国は選んだのか。謎です。
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