11/07/17 10:10:51.80
>>769
> ひとつひとつの衛星は成果をあげているのに
> その次になかなか繋がらないのは何故なの?
その理由の一つは1990年に結ばれた、いわゆる「日米政府間衛星調達合意」。日米貿易摩擦の産物。
これにより、科学衛星・実験衛星を除き、衛星を作る際は必ず国際入札にかける義務を課せられた。
実験目的の1号機は比較的自由に打ち上げられるが、2号機以降の実用的な衛星が開発されないのはこのため。
しかし、アメリカの衛星産業も当時ほどは強くなく、日本の衛星メーカの三菱電機なども国際競争力をつけてきたため、
この合意は死文化しつつある。
積極的にこの合意を見直そうという動きも一部ではあるが、寝た子を起こすのではないかという危惧から、その動きは鈍い。
ただ、QZSSについては状況は異なる。
GPS技術の提供については、2000年代初めにアメリカと合意済み。
そして、その適用範囲は東アジア・オセアニア・太平洋地域に限定される。
このことから、QZSSは文字通りQZS(準天頂衛星)を用いた地域限定の測位衛星システムに限定されている。
また、QZSSはJAXA(科技庁→文科省)ではなく事実上経産省(通産省)主導のプロジェクト。その背後には民間がいる。
彼らは産業育成とコストパフォーマンスには敏感であるが、
「国家として測位衛星技術の保有・維持をしなければならない」という意識は希薄。
だから、測位+モバイル放送サービスは儲からないと分かった時点で、JAXAに実験衛星を押しつけて、一度は撤退した。
しかし、その後、次世代GPS技術に基づいた高精度測位サービスには一定のニーズがあり、
農業機械等の自動運転などの新たな産業を生み出せるのではないかという期待から、再びQZSS後押しへ傾いてきたのが現在の状態。
そこには衛星測位技術に対する国家としての意思が無いので、つねにふらふらしているように見える。