11/04/04 19:15:03.04
実をいうと、『エンプロイー(従業員)』という概念は、
近代になって生み出されたもので、時代を超越した社会慣行ではない。
本来ならば強い意思を持つ人間を、従順な従業員に変えるために、
二十世紀初頭にどれほど大規模な努力がなされ、
それがどれほど成功したかを見ると、マルクスを知らなくてもぞっとする。
近代商工業化社会の職場が求めるものを満たすために、
人間の習慣や価値観を徹底的につくり変える必要があった。
・ 生産物ではなく時間を売る
・ 仕事のペースを時計に合わせる
・ 定められた間隔で食事や睡眠をとる
・ 同じ単純作業を繰り返す
これらのどれ一つとして、人間の自然な本能ではなかった。
したがって、『従業員』という概念が(また近代経営管理の教義の他のどの概念であれ)
永遠の真実という揺るぎないものに根ざしていると思い込むのは危険である。
経営の未来 P163