10/09/01 14:36:46 VaG5FukD
>>89続き
今思えば当然の話だが、いとこは寝たふりをしていた。
祖父は唯一の跡取りである自分を猫かわいがりしていた。
祖母は祖父には逆らえない。
母親はいないに等しかった。
逃げ場はなかった。我慢するしかなかった。
それでもいとこは普通に自分と会話をしてくれた。
高校卒業後、自分は地元の国立大学へ、
いとこは東京で就職した。
その後、公務員となった自分は結婚し、愛する妻と子供二人、
幸せに暮らしている。
いとこは、誰とも交際せず、誰とも結婚せず
東京でひとり貧しく暮らしている。仕事も不安定のようだ。
祖父の葬儀に帰省したいとこに、過去の輝きはまるでなかった。
だが、やつれた手でビールを注いでくれるいとこの姿に
愛おしさを禁じ得ない。