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東大教師が新入生にすすめる本 2004年「UP」4月号より
北田 暁大(情報学環助教授/社会学)
(1) 『探究I』柄谷行人(講談社学術文庫、1992)
大学時代の僕が一番読み込んだ本だと思う。
一番感激したのは同じ作者による『畏怖する人間』という文芸評論なのだが、
『探究I』はその後の僕自身の進路を変えてしまうほどの「力」を持っていた。
扱われている問題は「他者とは何か」。
ウィトゲンシュタイン、マルクス、クリプキといった知の巨人たちの哲学が、
強引ともいえる柄谷の力技によって縒り合わされ、強靭な一つの思想へと昇華されていく。狂気すれすれの柄谷のパフォーマンスに魅せられ、
バリバリの官僚指向を持つ文II生だった僕は、
哲学・社会学の道へと引きずりこまれていったのだった……。