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(>>1のつづき)
一方、逮捕の是非は現場で判断できないため、「追跡から中国人取り押さえまで、一連の
ビデオ映像を衛星回線で(海保本庁などに)飛ばした」という。それだけに、仙谷由人官房長官や
前原誠司国交相(当時)も、事件当日に一連の映像を見た可能性が高い。森氏は「明らかな
犯罪行為を目の当たりにしながら、処分保留で釈放した判断はどう考えてもおかしい」と指摘する。
実際、危険な中国人の実態を他の海保関係者と共有するため、映像は海保の
ネットワークで共有。海保側は「2001年に海保巡視船と交戦した北朝鮮工作船の
例もあり、当然、今回も映像は公開されると思った」ためだ。
しかし、政府は中国におもねり非公開を決定。そうならばビデオの厳重管理が不可欠に
なるはずだが、政府が出した指示は事件から1カ月以上たった10月18日、海保本庁と
沖縄の第11管区海保本部、石垣海上保安部で「映像管理責任者」を1人ずつ選んだだけ。
具体的な管理方法の指示は一切なかったという。
また、調査団は、中国人船長の身柄が送検された那覇地検の上野友慈検事正らとも面会。
仙谷氏はビデオが衆院予算委員会に提出された10月27日、同委に「視聴される方の
範囲も含め、極めて慎重な取り扱いに特段のご配慮要望いたします」との要望書を
提出した。しかし、上野氏によると、政府は地検にビデオを厳重管理するような指示は
出さなかったうえ、地検も石垣海保などに指示しなかったという。
仙谷氏は映像を流出させた神戸の海保保安官(43)に厳しい処分を科す方針を示唆しているが、
手軽に映像を入手できる環境があった以上、処分の根拠は極めて乏しくなったともいえる。
ビデオを流出させた保安官が名乗り出るまで、石垣海保は捜査当局などから犯人扱い
され続けたが、時枝俊次郎第11管区海上保安部次長は「大変つらい思いをしたが、
下を向いていたら国境は守れない」と力強く語ったという。果たして仙谷氏は、この
叫びをどう聞くのか。(以上)