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しかし、暴力は暴力自体が悪でもなく、善なのでもない。それは暴力を規定する見地によつて善にもなり、
悪にもなるのである。彼ら(共産勢力)は国家権力を暴力装置と規定し、機動隊を階級敵と規定し、彼らの規定によつて
権力自体は、すべて膨大な、革命を抑圧してゐる暴力機構と考へられる。そして、いはゆる無意識な、無関心な
一般大衆の目にとつては、三派全学連の無秩序な暴力だけが、あるひは暴力団の暴力だけが暴力とうつり、
自分たちを守りに出てゐる武装集団の自衛隊や警察は暴力とうつらないやうな心理構造を持つてゐると説明される。
(中略)そして暴力否定が終局的に革命を支持するものであることを最もよく知つてゐるのは革命勢力、特に
共産党なのである。共産党は最後の革命に手段としての暴力を十分容認するが、その暴力が民衆の支持を得るまでは
差し控へる、といふことを知つてゐる。
三島由紀夫「反革命宣言」より