10/11/21 17:10:15 V7eKXSQE0
>>284
一審では無罪判決。
検察が控訴し、控訴審では有罪判決。
被告人は上告したが、最高裁で棄却され東京高裁の有罪判決が確定。
罪状は刑法130条住居侵入罪、量刑は罰金20万円から10万円。
この件は、表現の手段すなわちビラの配布のため自衛隊官舎に管理者の承諾なく
立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われたものです。
本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である
集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として管理していたもので、
一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。
たとえ表現の自由の行使のためとはいっても、このような場所に管理者の意思に反して立ち入ることは、
管理者の管理権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。
と、いうのがこの判決が下された理由です。
憲法論で言うと、憲法21条1項は表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため
必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、
その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されません。
では、この判例を政府批判を封じ込めるために援用できるか？ というと甚だ疑問です。
政府を批判するのことは「他人の権利を不当に害する」とは言い難いからです。