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この欄で１カ月ほど前、「小沢一郎は週刊誌の人気ナンバーワン。たたいても週刊誌は売れる。褒めちぎっても売れる。
小沢さんは千両役者！」と書いた。そろそろ「次なる役者」を探さねばなるまい！とオチョクったら、
週刊誌は仙谷由人官房長官を“新しいスター”に決めたらしい。ナンでもカンでも仙谷は悪い。仙谷の仕業！のオンパレードだ。
例えば「大物総会屋・故小川薫さんの黒革の手帳に仙谷さんの電話番号が載っていた」というスクープ？
小説「最後の総会屋」（大下英治著）のモデルにもなった“黒幕”と付き合っていたのがけしからん！という批判記事だ。
でも、仙谷さんは弁護士出身。大泥棒の弁護をすることだってある。僕だって小川さんとは取材で何度か会ったが、
事務所にトウ小平の色紙を張って「知り合いだ！」と自慢するユニークな人物だ。
この程度のことで批判されるのは仙谷さんがスターになった証拠である。
伝説の官房長官・故後藤田正晴さんと比べる記事まで登場した。おもしろい企画だが……お二人に気の毒だ。スケールが違う。
「カミソリ」とおそれられた後藤田さんには教えてもらった。「中国やロシアに旅行したら女性とベッドに入ったら駄目だ。
写真を撮られた政治家が何人もいる」「日曜日は必ずデパートに行って値札を調べる。物価が政治を動かすんだ」
「中曽根（康弘元首相）さんが何と言おうと憲法９条は守る」
後藤田さんはズレなかった。ズレまくる菅内閣の官房長官と比べたら、いささか失礼だ。
８６年の伊豆大島・三原山の噴火。後藤田さんは各省庁を指揮して一晩に３９隻の船舶を集め、全島民１万人を避難させる離れワザを見せた。
政治主導にこだわって「何でも政務三役がやる！」という傲慢（ごうまん）な政権に、こんな芸当ができるだろうか？（>>2-以降へ続く）
記事引用元：毎日ｊｐ（毎日新聞 2010年11月16日 東京夕刊）
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