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・漁船衝突は事故か故意か。故意ならば中国政府は関与しているのか。中国が対抗措置を
繰り出していたころ、菅首相は周辺に「中国側の意図が分からなければ、おれは判断できない」と
いら立ちをぶつけていた。
中国の戴国務委員による丹羽駐中国大使の午前0時の呼び出しは、首相官邸と外務省の
連携の欠如を象徴する「失態」だ。中国側は午後6時と8時に、大使に会談を呼びかけたが、
日本側がいったん断り、未明にずれ込んだ。だが、この経緯は官邸に報告されず、仙谷官房長官が
記者会見で「未明の呼び出し」に不快感を示し、対中関係悪化に拍車をかけることになった。
政府内の混乱は官邸によるその後の「外務省外し」につながる。
仙谷氏は「外務省に頼らない中国とのルートが必要だ」と周辺に漏らし、日本企業の対中進出に
携わる民間コンサルタントで、長く親交のある篠原令氏に中国への橋渡しを依頼。調整の末、
民主党の細野前幹事長代理の訪中が実現した。
「衝突事件のビデオ映像を公開しない」「仲井真弘多(沖縄)知事の尖閣諸島視察を中止
してもらいたい」--。細野氏、篠原氏、須川清司内閣官房専門調査員と約7時間会談した
戴氏らはこの二つを求めた。報告を聞いた仙谷氏は要求に応じると中国側に伝えた。
外務省を外した露骨な「二元外交」は政府内の足並みの乱れを中国にさらけ出すことになった。
「これからは外交ルートは外務省に一本化すると中国側に言ってある。よろしく頼む」。
ベルギーで日中両首脳の懇談が実現し、ひと息つくと、仙谷氏は前原誠司外相にこう言ったが、
首相官邸と外務省の溝は今も完全には解消されていない。
外交・安保分野における与党の機能不全も露呈した。小沢民主党幹事長(当時)は
党所属議員143人を率いて訪中したが、結果的に関係悪化を防ぐ役割を何も果たしていない。
首相官邸、外務省、与党が連携を欠き、失態が相次ぐ菅政権。米保守系シンクタンク
「ヘリテージ財団」のディーン・チェン研究員は「日本は政治的に非常に脆弱であることが
(尖閣事件で)露呈した」と指摘する。(抜粋)
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