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南クリル諸島(北方領土)の領有を巡る日本とロシアの争いは、東シナ海での日中間の摩擦に
比して、これまであまり報じられてこなかった。しかし、ロシアのメドベージェフ大統領がこの島に
歴史的訪問をしたことによって、再びこの争いに火がついた。
事の発端は第二次世界大戦末期に遡る。日本の領土だった南方の島々にロシア人が乗り込ん
で、戦利品として奪ったのがこの問題の出発点である。
サンフランシスコ条約では日本はこの島々を譲り渡すこととされたが、譲渡先がソ連と指定され
たものではなかった。米国は日本の主張を支持している。しかし、今回ロシアはこれらの島を
返還する意志が全くないことを明らかにした。
島に住んでいた日本人は全員、ロシア人たちによって追い出された。これは歴史や国家の威信
にも係わる問題でもある。日本人は伝統的に自分たちの領土だと思っていて、今なお島に残し
た財産の返還を求める人たちもいる。そしてまた、とても豊かな漁場があり、海底には有用な
地下資源も眠っている。
この島々はオホーツク海へのアクセスの一部であるため、ロシア側からすればその制海権を
保持するためにも、領有権を確保したいというのが主たる理由である。この争いは自然にまかせ
て解決するような問題ではなく、今後とも長く引きずる争いの一つだ。
この数十年の間には、ロシア側は北の2島はそのままにして、多額の金銭を交換条件に南の
2島を日本に返還するといった妥結に向けた動きが一、二度あった。
しかし、当時の日本はその条件を拒否した。現在の日本なら取引に応じるのではないかと思わ
れるがロシア側にはもうその意志はない。
日中間の争いとこの問題を比較するつもりはないのだが、ロシアに対する日本の対応の仕方と、
尖閣諸島問題で日本に対して中国が取った態度を比べてみるのは意味があるかもしれない。
尖閣問題で悪態をついた中国と比べたら、日本はちょっとばかし大人であり、ちょっとばかし外交
を心得ていて、ちょっとばかし「正常な」国である。
英BBC:URLリンク(www.bbc.co.uk)