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・裁判長「死刑は人の生命を奪う究極の刑罰である」
「本件は、未熟な人格の被告人が、江尻美保さんの気持ちを理解できずに一方的に思いを募らせ、
抑鬱状態になり、思い悩んで起こした事件である」
「鈴木芳江さんの殺害は極めて残虐で、芳江さんに落ち度はないが、計画性のない偶発的な犯行である」
《傍聴席からすすり泣きが聞こえる。遺族とみられる女性がハンカチを口に当てている》
裁判長「2人を殺害したことを被告人なりに反省し、法廷で遺族の声を直接聞いて、態度に
やや変化がみられる」
「被告人に対しては、裁判を契機に、江尻美保さん、鈴木芳江さんの無念さや遺族の思いを真剣に受け止め、
人生の最後の瞬間まで、なぜ事件を起こしたか、自分の考え方のどこに問題があったのか、苦しみながら
考え抜いて、内省を深めることを期待すべきという結論に至りました」
「よって、主文の通り、無期懲役に処することとしました」
《裁判員らは険しい表情で林被告を見つめている》
裁判長「以上が判決です。もう一度立ってください」
《若園裁判長にうながされ、林被告がゆっくりといすから立ち上がる》
裁判長「聞いていて分かりましたか」
《若園裁判長は14日以内なら控訴できることを林被告に説明。「これで言い渡しを
終わります」と閉廷を告げた。林被告は若園裁判長に向かって一礼した》
《このとき、傍聴席の後方にいた遺族とみられる女性が泣き叫んだ》
女性「こんなのやだー、やだもう、納得できない、納得できない!」
《裁判所職員が「傍聴人は退廷してください」と強い口調で告げる。女性は「もうだめ、
絶対だめ」と泣き崩れながら出口に向かった。林被告は傍聴席に礼をすることなく、退廷した》
(抜粋)
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