10/10/31 15:59:13 vweDinTk0
>>46
後から振り返ると、米国の日本企業閉め出し策は極めて巧妙だった。
まず、銀行検査やBIS規制などで日本企業の競争力の源泉であった邦銀の活動を押さえる。
一方ローカルコンテント法などという国際法上問題のある法案をちらつかせながら、
二国間の交渉で日本のメーカーに足枷をはめる。
そして日本からの巨額の資金を持ちかえることのできない米国の不動産に注ぎ込ませる。
もちろんもっと大きな舞台では為替戦略などもあったわけであるが、そういったものを
総合してみるとあらためて米国の戦略のしたたかさに感服せざるを得ない。
特にBIS規制に見られるように、当時現地にいた我々のような銀行マンですら
その「罠」に全く気がつかなかったというところに一層の巧妙さを感じるのである。
このような米国の戦略を思うとき、何よりも驚くのは「よく日本のことを知っているな」
ということである。
このことは、私が帰国し、大企業メーカーを取引先に持ったときに一層強く感じた。
その頃は日米貿易摩擦が過激化していたわけであるが、たとえばスーパー301条による攻撃は、
よく日本の実情を踏まえていると思った。メーカーと問屋の値決めの仕方
(最終価格は期末に決めるなど)、排他的な加工センターの存在、複雑な流通経路と様々な
リベートなどの実態をよく勉強していたのである。
その頃、米国在住の弁護士から「最近米国弁護士の資格を取った日本人を上下院の議員が
大量に採用しているよ」という話を聞いた。要は彼らを使って、日本企業や業界事情を詳しく
調査させているのであった。敵国の事情は敵国の人間が一番知っているからである。
「敵を知らなければ」戦争はできないのである。
まさに米国は戦略の国であり、法律と外交力(軍事力を含む)を武器とした
「アメリカ株式会社」であるという確信を持った。スーパー301条問題はその典型である。
長銀は、当時ニューヨークで最もプレゼンスの高い邦銀であり、そういったことを強く
肌身で感じていた銀行であったと思うが、分かっていながら結局は格付とBIS規制という
戦略によって破綻に追い込まれたというのはまことに残念であり、
何とも皮肉に思えてならない。