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・27日から読書週間。今年は国際読書年、日本では国民読書年にもなっている。
一方で「電子書籍元年」とも言われる。関連業界はPRに懸命だ
▼端末の窓に文字が表示される電子書籍。単行本が文庫本になるのとはわけが違う。
印刷や流通の手間が省け、安くなるだろう。字の大きさも変えられるし、廃刊本も
復活できそうだ。確かに魅力的だ。米国では人気がある
▼ただし日本では、これまでに何度も「元年」が喧伝(けんでん)されながら、普及には
至らなかった(歌田明弘著「電子書籍の時代は本当に来るのか」ちくま新書)。端末、中身
とも決定的な魅力に欠けていたのだろう。今年は新型機器の登場が力になった
▼「自炊」という「新語」も生まれた。端末読書のために本を解体して読み込み機に
通すことだ。それでも、歌田さんは日本の書籍流通が独特なため普及には時間が
かかると見る
▼一方、神戸女学院大教授の内田樹(たつる)さんは「電子書籍には空間としての
書棚がない」と紙の本にこだわる(「街場のメディア論」光文社新書)。自分で買い並べた
本はその人だけの財産。仮に読んでいない本があっても、背表紙の列をながめ
暮らすことが頭や心を刺激するということらしい
▼なるほど。読書家だったら、端末が「読みふける」に足る道具かと気にもなろう。
その前に、あらためて自分の財産と向き合うのも、いい秋の過ごし方かもしれない。
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