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鹿児島県奄美市の県立大島病院で22日未明、3202グラムの元気な男の子が生まれた。母親の
西村しおりさん(36)=同市住用町見里=は、大雨被害が激しかった自宅を出て、ボートで海を渡り、
通行止めのトンネルを歩いて、ようやくたどりついての出産だった。出産予定日を5日後に控えた20日、
市街地の病院に向かう国道58号は大雨で寸断。地元に産婦人科はない。「ヘリは悪天候では飛ばない」
「今なら歩けるが、危ない」。夫の公務員西村恵一さん(37)と判断を迫られた。
「動けるうちに動こう」。21日早朝、しおりさんが腹痛を訴えたため、消防組合に搬送方法を相談し、
夫婦は決断。午前9時ごろ、消防隊員4人とともに親類の車で、いったん立ち寄った奄美体験交流館を出発した。
車で行けるところまで進み、救命ボートに乗り換え入り江を渡った。向こう岸から渡されたロープを消防隊員
が引っ張り、恵一さんは櫓(ろ)を漕(こ)いだ。岸に上がると、待ち構えていたトンネルには土砂が積もっていた。
少しずつ歩き、トンネルの出口でようやく救急車へ。病院まで1時間10分の道のりだった。
夫婦にとって第3子。名前は避難劇から「漕太(そうた)」に決めた。恵一さんは23日「元気に育って
ほしい。消防の方々がいたから生まれた命。感謝したい」と話した。
=2010/10/24付 西日本新聞朝刊=
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