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日本は中国に対し、累計で3兆円を越えるODAを供与してきた。
中国が日本に戦争の賠償を求めなかったことに対する見返りの色彩も帯びた援助である。
中国経済は日本の援助もてこに成長を遂げ、今では世界経済の支え役になっている。対中ODAは、
その意味が中国の人々に十分浸透していないうらみはあるとしても、戦後日本外交の成功物語の一つに数え上げていいだろう。
情けは人のためならず。この言葉はODAにこそ当てはまる。
<国民の理解がカギ>
問題は、援助について日本国民の理解が十分でないことだ。本社が加盟する日本世論調査会の2年前の調査では、
ODAを「増やすべきだ」とする答えは9%しかなかった。「現状の水準でよい」が70%、「さらに減らすべきだ」は17%。
国民がODAに向ける目はまことに冷たい。
援助の意味について、政府の国民に対する説明が決定的に足りない。加えて、援助にからみ、
贈収賄、裏金といった不祥事が多発してきた現実もある。
政府が行った事業仕分けでは、援助の実施機関である国際協力機構(JICA)職員が飛行機のビジネスクラスで
出張していることに厳しい声が寄せられた。無駄や不透明にメスを入れないことには、国民の理解は得られない。
菅直人首相は先のサミットで、途上国の母子保健や教育のために5年間で総額85億ドルを拠出する「菅コミットメント」を発表した。
口約束で終わらせてはならない。2011年度予算ではODA予算を着実に積み増し、姿勢の転換を内外に印象づけたい。
ODAの予算規模は公共事業費や防衛費に比べれば一けた少ない。増やせないはずはない。(終)