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(>>1のつづき)
首相外遊中に緊張回避を模索したのは、留守を預かる仙谷由人官房長官だった。外務省の
懸念がそれとなく検察側に伝わるように手を打った。11月中旬に横浜市で開かれるアジア太平洋
経済協力会議(APEC)首脳会議には、胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席の来日が予定されている。
それまでに局面を転換しなければならない。
だが仙谷氏は最近、知人にこう漏らしている。「民主党には中国とのパイプがないんだ」。中国側と
十分な意思疎通がないまま船長釈放のカードを切ったものの、首相が期待したニューヨークでの
温首相との接触は実現できずに終わった。そればかりか、中国側は謝罪と賠償を要求している。
突然の船長釈放について、中国政府関係者は「予想外だった」と明かす。
29日に船長は起訴される可能性が高い―。中国政府内では、19日に1度勾留が延長された際、
こうした見方が大勢を占め、すでに対日強硬路線にかじを切っていた。首相に先駆けてニューヨーク
入りした中国の温家宝(ウェン・チアパオ)首相は21日、「必要な対抗措置を取らざるを得ない」と発言。
中国筋によると、温首相の発言は共産党指導部内の合意を得た上でのことだった。
一度、党の方針が決まれば一気に突き進む。それは、日本側が船長釈放で緊張緩和への
局面転換を図ろうとした後でも変わらない。中国政府系シンクタンク関係者は「指導者が
あれだけ強い調子で批判した直後に、日本の首相と握手できるわけがない。完全な
根回し不足だ」と語る。 (以上)