10/09/22 12:56:26 0
(>>1のつづき)
こうした海外援助も見方を変えれば、軍事的な意図を含んでいる。こうした地域に
張り巡らせた港湾や道路や通信網を中国側が制御すれば、中国軍の軍事行動が
とり易くなる。またその国と経済摩擦や利害衝突が起きた場合には、中国が軍事力を
背景に交渉を有利に進められる。いままで中国のこうした投資を歓迎してきた諸国も、
最近では警戒心を強めるようになってきた。
日本国債の93%は日本の金融機関が保有しているが、残る7%の中で中国政府が
最大の債権者になった模様である。日本政府は中国政府の購入を歓迎しているようで
あるが、国債管理はより難しくなったと見るべきだろう。中国がもし日本国債を大量に
売却すれば、金利は高騰し、日本の財政収支は一気に悪化する。中国側がこの
手段を意図的に使うと大きな攪乱要因になる。
中国は今後、軍事面、領土面、資金面で日本を含むアジア諸国に更に強い影響力を
及ぼすであろう。中国が日本にとって最大の貿易国であるにもかかわらず、軍事面、
領土面での中国は違う顔を覗かせる。アメリカにとっても今や最大の貿易相手国は
中国である。だが、アメリカ政府は中国に対して経済面の親密さと、軍事面の脅威とを
峻別して考えている。
日本ではこの峻別ができていない。中国を情緒的に捉えている。民主党代表選挙でも、
国防が全く論点にならなかったのはこうしたところに原因があるのではないだろうか。
日本国民が国防の観点から大きな決断をしなければならない時は刻々と近づいて
きている。米国と同盟強化を図るのか?それとも、曖昧なままズルズルと中国の強硬な
外交圧力に屈していくのか?日本人はこの数10年、明確な国家戦略を持ったことがない。
だが、もしこの決断ができなければ、日本は「自国を取り囲む現状の認識が甘い上に、
自国の運命を自分で決められない国民である」というレッテルを諸外国から貼られても
仕方がない。それでも本当に良いのだろうか。(以上、抜粋)
安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学客員教授]