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この論文に対し、非正規労働者側は反発している。
「派遣労働ネットワーク・関西」(大阪市)の代表を務める脇田滋・龍谷大教授
(労働法)は12日に仙台市で開かれた「差別をなくし均等待遇実現を目指す
仙台市民集会」(仙台弁護士会など主催)で論文を取り上げ、「企業の経費
削減や人減らしで非正規労働者が増えた側面に目を向けていない」と指摘した。
脇田教授は朝日新聞の取材に「論文は若者が自ら進んで非正規労働者
という立場を選んでいるとの前提に立っているが、若者の多くは正社員として
働きたいと思っている。逸失利益が安易に切り下げられるようなことになれば、
非正規労働者は『死後』まで差別的な扱いを受けることになる」と話す。
裁判官の間にも異なる意見がある。大阪地裁の田中敦裁判官(55)らは
同じ法曹時報に掲載された論文で「逸失利益については、若者の将来の
可能性を考慮すべきだ」と指摘。若い世代の逸失利益を算出する際、
正社員と非正規労働者に大きな格差を設けるべきではないとの考え方を示した。