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友人とはなんぞや、の答えは色々だろうが、臨床心理学者の故・河合隼雄さんの著作中にこんなのがある。
「夜中の十二時に、自動車のトランクに死体をいれて持ってきて、どうしようかと言ったとき、黙って話に
乗ってくれる人」(『大人の友情』)。なかなか刺激的だ
▼ある大学で、入学後1週間もしないうちに「友達ができない」と学生が相談にきたそうだ。「努力したが
うまくいかない」と言う。その話に河合さんは驚いた。1週間努力すれば友達ができる、と思っていること
にである
▼河合さんが健在なら何を思うだろう。せっかく入った大学を、友達ができないからと中退する学生が増えて
いるという。このため、いくつかの大学が「友達づくり」の手助けを始めたそうだ
▼学生たちは、友達がいない寂しさより、いない恥ずかしさに耐えられないのだという。「暗いやつ」と
見られたくない。周囲の目が気になって学食で一人で食べられない。あげくにトイレで食べる者もいるという
から驚かされる
▼昨今、「友達がいなさそう」というのが、人への最も手厳しい罵倒(ばとう)ではないかと、作家の津村
記久子さんが日本経済新聞に書いていた。人格の根本部分を、あらゆる否定をほのめかして突くからだという。
やさしげでいて残酷なご時世、学生ならずとも孤高には耐えにくいようだ
▼携帯電話に何百人も「友達」を登録して、精神安定剤にする学生もいると聞く。だが、友情とは成長の遅い
植物のようなもの。造花を飾って安らぐ心の内が、老婆心ながら気にかかる。
ソース:朝日新聞
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