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冷戦終結とともに葬り去られたはずのカール・マルクス(1818~83)が、このところ相次ぐ入門書や解説書、
新訳の刊行で、再び注目されている。現実政治への影響力は薄れたが、経済のグローバル化や環境問題、
個人の生き方など、21世紀の課題に向き合う思想として新たな光を放ちつつある。
■現代の課題に向き合う
「強靱(きょうじん)な論理でぐいぐい読者を引っぱりながら、瞬間的な目くらましで跳躍する。
作家・マルクスのドライブ感あふれる文体について、書きたいと思っていた」
内田樹(たつる)・神戸女学院大教授(フランス現代思想)が熱を帯びた口調で語る。
同僚の石川康宏教授(経済理論)との共著『若者よ、マルクスを読もう』(かもがわ出版)を6月に出した。
『共産党宣言』『経済学・哲学草稿』などマルクス青年期の著作を往復書簡の形で解説。
今後も『資本論』など続編を発表していくという。
「座標軸をなくした日本社会には、一本筋の通った左翼の存在が必要だと思う。
今の若者は左翼アレルギーが強いが、ブルジョアジー出身のマルクスが弱者への友愛から連帯の思想を紡いでいったように、
本来の左翼的知性とは熱くて柔軟なものだ」
とはいえ、礼賛だけの本ではない。「マルクスにどっぷりつかってきた」という石川教授と、
違いを認め合いつつ進める対話は、左翼につきものだった党派対立をこえる実践の書としても読める。
マルクスを呼び戻そうとする思潮は欧州でも目を引く。近著『ポストモダンの共産主義』(ちくま新書)が
話題を集めるスロベニア生まれの思想家ジジェクは、現代社会は環境破壊や遺伝子工学による
倫理破壊などによって「世界の終わり」に達していると警告。それはマルクスの指摘した「実質なき主体性」に帰すものだとみる。
ソース 朝日新聞
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(続)