10/08/21 22:52:03 GSoYyTWU0
90年代以降、財・サービスのみならず、企業そのものが国際的に移動する
グローバリゼーションの時代を迎え、貿易取引されない国内サービス業のマーケットについても、
国際的な一物一価への圧力が次第に強まり、結果として「購買力平価」に、現実の為替レートが
徐々に収斂していく動きが見られるようになってきた。
これは、その財やサービスが直接貿易取引されるわけではない、両国の「国内マーケット」同士も、
実は相互に関連性を強めてきたということを意味している。
(3)そしてこの二つの為替レートの収斂は、日本とアメリカ(円とドル)の関係においては、
アメリカの国内市場の価格上昇、日本の国内市場の価格低下、そして円安によって行われることになったが、
円ドルレートがなかなか円安方向には振れにくいアメリカの通貨政策の下で、円安による調整は
限定的なものに止まり、結局はサービス業を中心とする国内マーケットの価格低下と、
ひいては賃金の引き下げにより調整が進むことになった。
少し専門的な説明になり過ぎたが、要は、グローバル化により、昔は海外との競争に
さらされなかった国内部門のサービス業などの価格が国際的にみると割高と見られるようになった。
そして、円が日本の経済の実力以上に円高であったために、この割高感は為替レートが
円安に振れることによって調整されることはなく、国内市場の価格と賃金への下方圧力が
かかる形で、調整されることとなった。その結果、2000年代に入ると、
サービス価格が低下し、サービス業に従事する雇用者への賃金も低下していった。
これが、90年代以降今日まで続いているデフレ基調の原因となった構造であると考えられる。
この分析は、内閣府によるデフレ要因分析とも一致している。
内閣府「日本経済2009-2010」によれば、日本における物価低下の最も大きい
要因の一つは、サービス価格とサービス業の賃金の低下である。欧米では、サービス価格や
サービス業の賃金は年2~4%で上昇しているが、日本ではともに低下している。
ここが欧米と最も異なる点であると指摘されている。
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