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高校“義務化”で大学破綻(はたん)か
来年度予算の概算要求も始まった。マニフェスト実現のためには予算編成でそのことを盛り込むだけでなく、
関連法案を通さなければならないが、その見通しは暗い。子ども手当法案や高校無償化、
それに税収の落ち込みで財政は逼迫(ひっぱく)しているからだ。
予算編成でもいろいろな問題点を指摘しなければならない。まず、社会保障経費はなぜ、
抑制の対象にしないのか、という素朴な疑問である。
毎年1兆3千億円の増額を抑制の対象から外し、他の予算には一割の削減を一律に求める。
地方財政もほぼ前年並みの水準というのだが、そのあおりを受けるであろう科学技術や大学予算、
あるいは防衛費などはとても心配だ。
ここに国立大学協会の作成したグラフがある。6月22日に閣議決定された「財政運営戦略」の
「中期財政フレーム」では23年度から3年間「基礎的財政収支対象経費」は前年度を上回らないよう方針が示された。
年率8%の削減を機械的に国立大学法人運営費交付金にあてはめた場合、
削減額は初年度だけで約927億円に上る。22年度までの7年間で達成した同交付金の削減額830億円を
単年度で上回る法外な額であり、それは3年間続き、削減総額は累積で2564億円に達する。
仮に927億円の削減のしわ寄せを授業料でまかなうとする。すると学生1人あたり年23万円の値上げが必要だ。
研究経費を削って捻出(ねんしゅつ)する場合は、現状の32%減(約1954億円)となる。
さらに特定大学の交付停止で対応した場合をまとめたのが、グラフである。
927億円というのは大阪大学と九州大学の2大学を消滅させればちょうど捻出できる規模だ。
グラフで明らかなように東京大学の交付金をなくすという選択もあるが、それだけでは927億円は捻出できない。
東大をゼロにしても翌年には京都大学もゼロにせざるを得ないし3年たてば、
大阪大学も東北大学も対象にせざるを得ないという削減の規模だ。
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