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∞【萬物相】中国漁船のエイ乱獲
朝鮮王朝時代の生物学者、丁若銓(チョン・ヤクチョン)は1801年、カトリック迫害事件で全羅南道沖
の黒山島に島流しとなり、16年後に世を去った。丁は黒山島付近に生息する227種類の海産物や海
鳥の生態を記録した『シ山魚譜(シは玄を左右に並べた字)』を残した。黒山島名物のエイについて
は、雌が釣り針に掛かると、雌を追ってきた雄も一緒に捕まえることができると書いた。
黒山島で刺し身で食べていたエイを発酵させて食べ始めたのは高麗時代末期だという。島の人々
は倭寇(わこう)による略奪を避けるため、一時的に栄山江をさかのぼり、羅州に逃れたが、その際に
持参したエイが船上で発酵し、鼻を突く独特の味わいが出た。このため、羅州の人々はエイを発酵さ
せた「洪魚膾(ホンオフェ)」は羅州が元祖だと主張する。食べ方も少しずつ異なり、黒山島ではマッコ
リ(濁り酒)を使った酢に塩、ごま油、刻みネギを混ぜた醋醤(チョジャン)と呼ばれるたれを付けて食べ
る。羅州ではみそにトウガラシ粉、酢を混ぜた醋醤が欠かせない。咸平や霊岩では塩を付けて食べる。
全羅南道高興郡出身の詩人、宋秀権(ソン・スグォン)は「辛くてピリッとするエイの味、夜が更ける
南道(韓国南部を指す地域名)の食卓」と歌った。慶尚北道青松郡が故郷の小説家、金周栄(キム・
ジュヨン)も長編小説『洪魚』でエイを味わい深く描いた。その一節に「鼻を突く香りと熟した肉の味、
その身は筋に沿って歯応えがあり、香ばしくしっかりした味が絶品だ」とある。
エイに豚肉、ニンニク、サムジャン(みそベースの合わせ調味料)を添えて食べる際にはマッコリ
が欠かせない。マッコリブームが起きると、エイの輸入も増えた。チリをはじめ、13カ国からの輸入
品が90%を占める。残る10%は貴重な黒山島産だ。ところが、最近中国漁船約100隻が韓国領海
に侵入し、黒山島付近で底引き網を使い、エイを根こそぎ捕っていく。昨年、全羅南道新安郡の漁
師は、1週間でエイ300―400匹を収穫できたが、最近は10―30匹がやっとだという。
エイは中国料理には使われない。中国漁船はイワシやサバなどを捕る際、用のないエイまで捕って
いく。その場で捨てることもあれば、中国に持ち帰り、貿易業者経由で韓国に輸出することもある。
黒山島のエイは1キロ8万ウォン(約5600円)だが、中国産に化けた黒山島のエイは5万ウォン(約350
0円)で取引される。エイの味も分からない中国人がカネ目当てに韓国人の食をもてあそんでいる格
好だ。中国漁船の違法操業に対し、韓国政府はエイの味のようにピリッとした対策を講じる必要があ
る。
朴海鉉(パク・ヘヒョン)論説委員
ソース:朝鮮日報日本語版 2011/11/09 10:20
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