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>>1の続き
■「改正」へ
事実、内政部が09年10月に実施した売春に関して民意調査では、52パーセントが、人身売買
などを除き、成人同士の売買春は犯罪にあたらず、処罰すべきでないと回答した。また63パーセン
トが性産業の公的管理に賛成で、公認紅灯区の設置管理にも83%が賛成という結果が出ている。
こうした中、09年の最高裁長官の「違憲」の判断。結局、政府では売春の法的管理を研究せざる
を得なくなり、草案作成に着手した。
「既婚女性の売春には配偶者の同意が必要」などの条文を配した「成人性管理法」の草案では、
女性団体などから「主婦売春を助長する気か」「完全に双方不処罰とすべきだ」などとする批判が
噴出した。
さまざまな草案が飛び出す中、行政院では、特例のエリア「性専区」だけを処罰対象から外す案が
まとまり、結局4日、立法院の審議で修正を加え、紹介者には3日以下の拘留と1万元(2万5000円)
以上5万元(12万5000円)以下の罰金なども盛り込まれて可決された。
■各自治体は敬遠
ところが、この改正法は現実には、ただちに機能しないという。なぜか。
実は、台北、台中、台南市、台東、花蓮、澎湖など主要12県市では、実態として存続する非公式
の赤線地帯の公認につながる性専区の指定、設置に反対しているのが実情だ。
その他の10県市も、改正法は受け入れつつも「これから協議する」と腰は重い。
台湾の有力夕刊紙、聯合晩報(4日付)などによると、現在、台中や台南市、桃園、宜蘭、澎湖県に
11戸の合法置屋があり、49人の公娼が残っているが、これは各自治体の条例によって認められて
いるため、除外される。
しかし、その他については、改正法施行の6日以降は、実態として存続してきた赤線地帯であって
も、売春側と客の双方が処罰対象となる公算だ。
自治体が設置に二の足を踏むのは、地価の下落が生じるなどの被害を懸念する周辺住民らの反対
などがおさえられないというのが大方の理由だ。
有力紙、蘋果日報(10月17日付)によると、北部の代表的な港湾都市、基隆の性産業地域では
付近の住宅で一坪200万台湾元(約500万円)であっても隣接の当該地域では28万元(70万円)
という。
加えて、特定のエリア行政によってはっきりと線引きされた場合、暴力団が利権をめぐって抗争を
展開する可能性も指摘されている。
もちろん、指定されずに法が施行された場合でも、警政署(警察庁に相当)では「3カ月は指導期
間」とし、ただちに摘発されることはないが、自治体が区域の設置に手間取れば、逆に「地元警察の
収賄の温床になるのでは」との懸念も浮上している。
激論を残したまま誕生し改正法だが、受け皿(性専区)のないままの施行に売春婦たちは「与党も
野党も偽善者。どのみち私たちは罰される」とむくれている。当面は、曖昧模糊とした中で運用され、
性産業者と、客と、行政・警察、当該エリア付近住民との間でさまざまな駆け引きが生まれそうだ。
(終わり)