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2011年の中国は憂慮すべき類似性をもって、日本を1941年12月の真珠湾攻撃へと導いたのと同じ戦争への道程をたどり始めた
ようにみえる。
この類似性の出現は見逃されなかった。例えば、あるワシントンのシンクタンクは、中国の全軍を構成する人民解放軍が「1941~
42年の日本の帝国主義戦略を模倣」した戦略を考案したと示唆した。
研究員が米国防総省と業務上の連携をもつ米戦略予算評価センター(CSBA)は、中国が、太平洋のグアムや沖縄の嘉手納、
青森の三沢の米空軍基地を標的としていると推測している。
日本が真珠湾を拠点とする米艦隊を一発でたたきのめそうとしたように、「人民解放軍の目的は、米国が西太平洋の空軍基地
から有効な戦闘力を生み出す力を奪うことだろう」―。CSBAは、研究者たちのこうした結論が人民解放軍の膨大な著作から
導き出せたものだと強調する。
今日の中国と過去の日本の明確な類似性は際立っている。
人民解放軍は非常に国粋主義的な組織だが、共産党からの独立性を強めつつある。人民解放軍は共産党に忠誠を誓っている
にもかかわらず、天皇に忠誠を誓っていた日本軍と同じように独自の外交、軍事政策を作り上げてしまった。
日本がフランスや英国、オランダ、ポルトガル、米国の植民地主義者をアジアから追い出そうとしたように、人民解放軍の目的も
米軍と米権益を東アジアから除去することにある。
日本は植民地政策を大東亜共栄圏の名のもとにアジアに押しつけようとしたが、現代の中国は周辺国を臣下とし、それ以外を
辺境の蛮族と見なす古代の中華帝国の概念を復活させようとしているかのようだ。
日本は自らを正当なアジアの支配者と見なしていたが、主人としてではなく保護者としてやってきたのだとアジアの国々を説得しよう
とした。中国も似たような立場をとり、「大国」としてアジアの国々を外の搾取から守ろうとしているだけだと主張する。
実例を挙げれば、中国の海軍上将が数年前、米太平洋軍司令官に対して、日本が1941年に提案したように、米軍はハワイまで
撤退し、中国海軍が西太平洋をパトロールすることを提案した。
中国とかつての日本は、南シナ海に主権が及ぶとみなし、石油や鉱物資源の輸送路として水路を支配しようとした。日本は
南シナ海北端の海南島を物流・兵站拠点とし、中国はそこに海軍と空軍基地を建設した。
歴史家のハーバート・ファイスによると、野村吉三郎海軍大将は41年、「日本の行動を受け入れるよう米政府を説得する」ために
ワシントンに派遣された。中国のアジア太平洋地域に対する見解を受け入れるよう米政府に求めるアピールにおいて、中国の要求も
大差ない。
現代中国と日本の戦略家たちは、孫子の教えを採用した。「戦わずして敵を圧倒するのが技の極地」と2500年前に教えた中国の
戦略思想家だ。日本は41年、戦わずして米国に勝とうとした。現代中国の指導者たちも同じことを望んでいることを示唆している。
日本は、その戦略が失敗した場合、東南アジアと太平洋の島々に進軍し、米国が長期戦を望まないとの読みから講和を求める
計画だった。CSBAは、中国がまず先制攻撃に出て、「米国が既成事実を白紙に戻すには犠牲が大きくなりすぎると判断するまで」
防御の姿勢を続けるだろうと指摘する。
今の重要な問題は、41年に日本の侵略行為を思いとどまらせることができなかった米国が、中国に対して、武力を使わずに米国を
アジアから追い出そうとしても無駄であると説得できるかどうかだ。さらに究極の疑問は、中国が破滅的な戦争をもたらす誤算を
犯さないよう思いとどまらせることができるかである。
ソース(産経新聞 11/3付 9面 「ハロランの眼」 リチャード・ハロラン氏)