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日本と韓国は様々な懸案を抱えてはいるが、未来志向で協力していかなければならない隣国だ。そんな現実が、両首脳の
背中を押した会談だったのではないか。
野田佳彦首相が訪韓し、李明博大統領と会談した。懸案の日韓経済連携協定(EPA)交渉では、実務者による協議を
加速することになった。
この交渉は2004年以来、中断している。韓国は欧州(EU)と自由貿易協定(FTA)を結び、米国とも協定発効の手続きを
進めている。日本はこうした動きから取り残されないためにも、本交渉の早期再開をめざしてほしい。
会談では、ドルなどの外貨を融通し合う通貨スワップ(交換)協定の資金支援枠を、大幅に増やすことでも合意した。欧州の
政府債務問題などの影響で、韓国ではウォン安が進んでいる。アジアへの危機の飛び火を防ぐためにも、日本が率先して手を
さしのべるのは当然だ。
日韓には竹島(韓国名は独島)の領有権問題や歴史認識をめぐる火種がくすぶる。こうした問題で関係が大きく揺らがない
ようにするためには、経済や外交の協力を積み重ね、互いの信頼感を深めていくしかない。両首脳が会談で竹島問題などに
深入りせず、協調を優先したのは賢明な対応だった。
もっとも、日韓が互いの関係を強めるだけでは、アジアの主要国としての責任を果たしたとはいえない。さらに一歩踏み出し、
両国が手を携え、アジアの安定に貢献していくという発想が大切だ。
まず試されるのは緊張が続く北朝鮮の核開発問題への対応だ。両首脳は協力を確認したが、必要なのは目に見える行動だ。
そこで急がなければならないのが両国の安全保障面での協力だ。朝鮮半島で危機が起きれば、民間人の退避などで日米韓
が連携する必要がある。だが、日米、米韓に比べると、日韓の安保協力は立ち遅れている。共同訓練や交流を通じ、いまのうち
から自衛隊と韓国軍の協力を強めるべきだ。
軍備増強を進める中国に責任ある行動を促すうえでも、日韓の結束が重要だ。中国軍の海洋進出には米国や東南アジア
諸国、オーストラリアも懸念を強めている。
11月の東アジア首脳会議(サミット)では中国軍の動きを念頭に、海洋安全保障のあり方が話し合われる。日韓は米国とも
結束し、議論を主導してほしい。
ソース(日本経済新聞・社説)
URLリンク(www.nikkei.com)